近現代史記事紹介-7

 

■ 中国の複数原発がトリチウム放出

 

最近、新聞記事で学んだこと

門田隆将氏のFBより情報取得、讀賣新聞の記事

 

中国の複数原発がトリチウム放出、

福島「処理水」の最大6・5倍・・・周辺国に説明なしか

 

2023/06/23 05:00 讀賣新聞オンライン

 

今までネットでは出ていましたが、はじめてメディアで報道されました。

他の新聞も是非取り上げてほしい事項ですね。

それにしても、ひどい話です。

2023/06/24

 

 

 

中国の複数原発がトリチウム放出、福島「処理水」の最大6・5倍

 

中国が国内で運用する複数の原子力発電所が、今夏にも始まる東京電力福島第一原子力発電所の「処理水」の海洋放出の年間予定量と比べ、最大で約6・5倍の放射性物質トリチウムを放出していることが、わかった。日本政府が外国向けの説明用に作成した資料から判明した。中国政府は東電の処理水放出に強く反発し、官製メディアも動員した反対キャンペーンを展開している一方で、自国の原発はより多くのトリチウムを放出している。

 

日本政府は、中国の原子力エネルギーに関する年鑑や原発事業者の報告書を基に資料を作成した。それによると、2020年に浙江省・秦山第三原発は約143兆ベクレル、21年に広東省・陽江原発は約112兆ベクレル、福建省・寧徳原発は約102兆ベクレル、遼寧省・紅沿河原発は約90兆ベクレルのトリチウムを放出していた。東電は、福島第一原発の年間放出総量を22兆ベクレル以下に抑える計画で、放出後のトリチウムの濃度は、世界保健機関(WHO)などの基準をはるかに下回るとしている。

 

中国政府は福島第一原発の「処理水」放出を「一方的に強行しようとしている」(中国外務省報道官)と反発し、官製メディアも連日、「日本は世界の海洋環境や公衆の健康を顧みない」(共産党機関紙・人民日報)などの主張を展開している。だが、日本政府関係者によると、中国は自国の原発のトリチウム放出について、周辺国との間で合意はなく、説明もしていないという。

 

 

 

■ LGBT理解増進法が成立してしまった

コラムを後で読み返したい時のために、書き起こして掲載しています。

 

気に入った新聞コラム

LGBT理解増進法が成立

 

2023/6/17 05:00 オピニオン 産経抄 政治

 

首相夫人がアメリカ民主党活動家バイデン夫人に呼び出され進言され、エマニュエル米駐日大使にごり押しされ、個人の選挙の票欲しさに公明党の言いなりで、LGBT理解増進法が成立してしまった。日本の伝統・文化も分からず、国体を守ることもできない者が、首相になるとこうなりますね。日本は少しづつ壊れていっている。次の首相に期待するしかないですね。まだアメリカの従属国として続いているのか。そしてメディアもあまりにもひどすぎる。

2023/06/17

 

LGBT理解増進法が可決、成立した参院本会議=2023年6月16日午前
LGBT理解増進法が可決、成立した参院本会議=2023年6月16日午前

 

 

●2023/06/16 LGBT理解増進法が成立してしまった

 

LGBTなど性的少数者への理解増進法が16日、多数の懸念を残したまま成立した。同法をめぐっては、エマニュエル米駐日大使の内政干渉といえるごり押しが物議を醸しており、4月29日の小欄も「日本人はまだ生徒の段階で、まだ12歳」と言い放ったマッカーサー元帥との類似を書いた

 

▼その後も、エマニュエル氏の国会への干渉は一向にやまない。戦後80年近くたっても、まだ占領軍気取りかと腹に据えかねていたところ、15日の参院内閣委員会で自民党の有村治子氏が理路整然と批判してくれた

 

▼有村氏は、エマニュエル発言について「執拗(しつよう)なまでに挑発的な言動」と断じ、先進7カ国で性自認に特化して差別禁止を定める法律はないことを外務省に確認した上で、こう指摘した。「米国でできていないことを声高に日本に迫る外圧、世論誘導、影響工作」 ▼さらにエマニュエル氏が「日本は進化の過程」と述べたことに触れ、日米関係への悪影響に懸念を示した。「日本を見下し評定するような不遜な態度は、日米関係を大事にしたい国民層を逆なでし毀損(きそん)する」

 

▼安倍晋三元首相の逸話を連想した。知日派のアーミテージ米国務副長官が、慰安婦問題で韓国への譲歩を求めてきた際、安倍氏は即座に反論した。「日本の保守派は親米派が多いが、米国による原爆投下や東京大空襲を忘れたわけではない。あまり米国が言い募れば、彼らもそうした過去を言い出すことになる」

 

▼アーミテージ氏は「そうなのですか」と言って黙った。日本人の心の問題は、教えなければ米国人には分かるまい。林芳正外相は16日、エマニュエル氏の言動に関し「コメントは差し控えたい」と述べたが、事なかれ主義的姿勢では相互理解に向かわない。

 

日本の政治家 有村治子氏
日本の政治家 有村治子氏

 

有村 治子(ありむら はるこ、1970年9月21日 - )は、日本の政治家。自由民主党所属の参議院議員(4期)。現在の役職は、党においては自由民主党中央政治大学院学院長、日本の名誉と信頼を確立するための特命委員会委員長、経済安全保障推進本部副本部長など、参議院においては参議院情報監視審査会会長などを務める。桜美林大学講師、参議院環境委員長、文部科学大臣政務官、内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全、規制改革、少子化対策、男女共同参画)、女性活躍担当大臣、行政改革担当大臣、国家公務員制度担当大臣、自由民主党参議院政策審議会長などを歴任した。

 

 

 

■ ロシアの極東地域を狙う中国

 

コラムを後で読み返したい時のために、書き起こして掲載しています。

 

気に入った新聞コラム

ロシアの極東地域を狙う中国

 

ロシアの極東地域を狙う中国 文化人類学者 静岡大学教授・楊海英

2023/6/8 08:00 楊 海英 オピニオン 正論

 

中国の極東への進出は現実的なものになってきたように感じますね。

2023/06/11

 

文化人類学者 静岡大学教授・楊海英氏 
文化人類学者 静岡大学教授・楊海英氏 

 

楊 海英(よう かいえい、ヤン・ハイイン、1964年(昭和39年)9月15日 - )は、内モンゴル出身の文化人類学、歴史人類学者。静岡大学人文社会科学部教授。モンゴル名はオーノス・チョクト、帰化後の日本名は大野旭(おおの あきら)。楊海英は中国名のペンネーム。

 

 

ロシアの極東地域を狙う中国 文化人類学者 静岡大学教授・楊海英

 

ロシア崩壊論、ロシア解体論が世界各地から現れ出した今、プーチン大統領の盟友であるはずの習近平主席の中国は静かに「歴史への復讐(ふくしゅう)」を始めている。その実例を見てみよう。

 

 

極東地域の「中国名」

まずロシア極東地域の地名に関する表記の変化である。中国で地図は国家の主権を具現するツールとして重視されており、刊行を管轄しているのは政府機関の一つ、自然資源部(省)である。その自然資源部は今年2月14日に「公開地図内容表示規範」を改定し、第14条規定でロシア領極東地域の8カ所の地名に対し、清朝時代の旧名を中国名として地図上で併記するよう義務付けている。具体的には以下の8カ所である。

 

①ウラジオストク=海参崴②ウスリースク=双城子③ハバロフスク=伯力④ブラゴベシチェンスク=海蘭泡⑤サハリン=庫頁島⑥ネルチンスク=尼布楚⑦ニコラエフスク=廟街⑧スタノボイ山脈=外興安嶺

 

サハリンを除いては1860年に締結された「北京条約」により、清朝から帝政ロシアに割譲された地域内にある。アヘン戦争などで清朝が英国とフランスに連敗した際に、ロシアは調停を買って出た。弱った清朝に付け入り、広大な「我国の領土」が取られた歴史を現代中国はずっと、「百年の屈辱」の一つとして認識している。

 

 

モンゴル帝国期からの地名

ではそれらの地は本当に「我国」こと中国のものだろうか。ウラジオストクはロシア語で「東方の覇者」の意で、漢字で表記される海参崴(ハイシンウィ)には意味はなく、ツングース系の原住民の音に対する当て字に過ぎない。

 

ウスリースクは満州・モンゴル系言語で「川」や「水」を指す。その川(ウス)の近くには渤海時代の城が2つあり、モンゴル帝国時代にはチンギスハンの末弟、オチギン・ノヤン家が経営する王家直属の封領だった。モンゴル語でジュルー・ホトン、「双子の城」と表現されていた。後に満州人が進出すると守備隊長の名でフルダン・ホトンと呼ばれていた。

 

ハバロフスクの語源はバハイで、ツングース系の言葉で「野生豆」の意だとされている。興安嶺は、「豊かな森林地帯」を意味するモンゴル語のヒンガン=ハンガイである。

 

このように、中国語ではないことは明白である。ニコラエフスクは近代に入り、少数の中国人すなわち漢人商人や出稼ぎ労働者が冒険でやってきて、関羽廟や龍王廟を建てると、廟街つまり、廟の建つ街(まち)が地名となる。彼らは断然、後進勢力に過ぎない。

 

中国はいわば、自身をモンゴル帝国や清朝の継承国家だと位置づけて、これらの地域に対する主権を求めている。モンゴル人や満州人などを「漢族より立ち遅れた少数民族」と決めつけながら、広大な領土を欲しがるとまた、「我が国の少数民族だ」と持ち上げる。こうした歪(ゆが)んだ心理はその外交政策にも反映されている。

 

 

人口を武器に中国の再解釈

実は現在の中国人のロシアに対する強烈な民族主義的敵愾(てきがい)心を抑えてきたのは自国政府である。民間では、ロシアが上で示した諸地域を占領した際に言葉で言い尽くせないほどの暴虐を働いた、との主張はずっと強かった。手元にある「修正主義国家のソ連に反対する学習資料」(1969年)によい事例がある。同資料は語る。

 

ハバロフという17世紀の帝政ロシアの侵略者がいた。彼は1651年6月に「外興安嶺にある中国の街」を攻め落としてから、現地の住民であるダウール族を661人殺害し、243人の女性と118人の子供を捕虜とした。女性をレイプし、人肉を食らった。「このような侵略者の名前で以て地名ハバロフスクとするソ連の修正主義者どもは、マルクス・レーニン主義の裏切り者だ」と中国は批判していた。

 

ここでいう「ダウール族」とは、モンゴルの中の一サブグループで、当時はダウール・モンゴルと自他ともに称していた。ダウール・モンゴル人が犠牲になったとしても、それは中国の歴史ではないのは、自明のことである。

 

1970年ごろの北京当局によるソ連批判では、清朝時代の地名を用いていないのが、特徴的である。イデオロギーをめぐる対立が最も激しかった時の中国にはソ連に対抗する実力はなかったし、「不平等」な「北京条約」でも国際法上は有効であるので、領土の返還を要求することは一度もなかった。英国に対して、香港の返還を求めたのと対照的である。

 

ウクライナ侵略戦争でロシアが勝っても負けても、中国は漁夫の利を得ることになる。既にシベリアに不法滞在している中国人は150万人を超えると推算されているし、極東地域と隣接する東北三省には億を超える中国人が暮らしている人口を最大の武器とする中国が失地回復という大義名分を掲げて極東地域に侵入する為の前哨戦として、地名の改編が始まったのであろう。(よう かいえい)

 

モスクワのクレムリンで会談を行ったロシアのプーチン大統領(手前左)と中国の習近平国家主席=3月(タス=共同) 
モスクワのクレムリンで会談を行ったロシアのプーチン大統領(手前左)と中国の習近平国家主席=3月(タス=共同) 

 

 

 

■ ジャンヌ・ダルクの出番だ・沖縄考

 

コラムを後で読み返したい時のために、書き起こして掲載しています。

 

気に入った新聞コラム

ジャンヌ・ダルクの出番だ・沖縄考

 

ジャンヌ・ダルクの出番だ 那覇支局長・川瀬弘至

2023/5/10 09:00 オピニオン コラム 沖縄考

 

その通りですね。新しい若いジャーナリストがでてきて、非常に期待しています。

しかし日本のメディアはなぜ報道しないのだろうか?。こちらは最悪ですね。

2023/05/12

 

国連人権理事会でスピーチする我那覇真子さん(内藤泰朗撮影)=2015年9月、スイス・ジュネーブの国連欧州本部 
国連人権理事会でスピーチする我那覇真子さん(内藤泰朗撮影)=2015年9月、スイス・ジュネーブの国連欧州本部 

 

我那覇 真子(がなは まさこ、1989年〈平成元年〉8月10日 - )は、フリージャーナリスト、予備自衛官。「琉球新報、沖縄タイムスを正す県民・国民の会」代表運営委員、日本文化チャンネル桜沖縄支局キャスター。参政党外部アドバイザー。FBIのエージェント(特別捜査官)になることを夢みて、沖縄県立名護高等学校在学中の2005年、交換留学によりアメリカ合衆国オハイオ州、カリフォルニア州へ留学したものの、FBI特別捜査官はアメリカ市民であることが最低条件である事を認知し、FBIへの就職は無理と考えて帰国し、名護高校も中退。大検資格取得後、早稲田大学人間科学部へ進学。在学中、高円宮杯全日本中学校英語弁論大会を主催する日本学生協会基金の運営委員を務め、2012年3月、同大を卒業。2020年10月、2020年アメリカ合衆国大統領選挙の取材を名目に渡米し、自身のYouTubeチャンネル及び別のインターネット動画チャンネルにリモートで出演し、現地からの報告を行っており、大統領選挙終了以後もアメリカ合衆国に2021年3月迄の半年間滞在し、同月日本に帰国。

 

 

ジャンヌ・ダルクの出番だ 那覇支局長・川瀬弘至

沖縄考

 

鮮烈の〝デビュー〟は平成25年2月、舞台は沖縄県名護市で開かれた、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設を求める市民大会である。

 

沖縄の朝野に「県内移設断固反対」の声がみなぎっていた時期だ。保守派が開催した大会への、マスコミなどの視線は冷たかった。だが、地元有力者らに続いてマイクを握った我那覇真子(がなは・まさこ)さんのスピーチに、会場を埋めた1千人超の聴衆は喝采した。

 

「移設問題が解決しない原因はマスコミを中心とする反米活動にあります」

 

「状況がひどくなったのは保守の政治家が革新の口まねをして基地反対を言い出したからです」

 

当時無名の23歳。黒髪を後ろに束ねた清楚な女性がズバズバ放つ直言に、「そうだ!」「よく言った!」のかけ声が飛び、拍手が湧き起こる。その様子はインターネットの動画サイトなどで拡散し、「沖縄の愛国ヒロイン」「ジャンヌ・ダルク現る」などとたちまち話題になった。

 

月刊誌「正論」の編集部員だった筆者もネットの動画に喝采した一人である。すぐに我那覇さんに連絡をとり、「正論」への寄稿を依頼した。届いた論文にまたまた喝采したのを今もよく覚えている。 

 

琉球士族の流れをくむ名護市の家系に生まれ、中学3年間の成績をほぼ1番で通した才女だ。しかし通常の学校教育に飽き足らず、16歳で渡米。カリフォルニア州の高校で1年余り学び、ここでも成績優秀留学生として表彰された。

 

帰国後に高卒認定試験を受け、やがて本土の早稲田大に進学する。ただ、郷土沖縄への愛着は深く、卒業後は名護市に戻って英語講師などをしていたところ、才女ありとの評判を聞きつけた前出の大会関係者から登壇するよう求められたのである。

 

以後は周囲にも押され、革新勢力と戦う言論活動を展開。行動型のフリージャーナリストとして、沖縄への浸透を図る中国の脅威にも果敢に警鐘を鳴らしている。

 

中でも注目を集めたのが、沖縄県知事の国連演説へのカウンタースピーチだろう。 

 

時は2015 (平成27)年9月21日、スイス・ジュネーブで開かれた国連人権理事会で翁長雄志知事( 30年死去)が演説し、辺野古移設反対を訴えた。

 

いや、反対だけならまだしも、各国政府代表らの前で日本国をはずかしめた。こんなふうにだ。

 

「沖縄の人々は自己決定権や人権をないがしろにされています。自国民の自由、平等、人権、民主主義、そういったものを守れない国が、どうして世界の国々とその価値観を共有できるでしょうか」

 

正気を疑う内容だ。むろん在ジュネーブ日本政府代表は直ちに反論した。だが、仮にも現職知事の発言である。各国代表らが半ばうのみにしてもおかしくなかっただろう。

 

ここで登場したのが我那覇さんである。知事演説の翌日、発言権のあるNGOから枠を譲ってもらい、こう訴えたのだ。

 

「私は沖縄生まれの沖縄育ちです。日本の一部として私たち県民は世界最高水準の人権と質の高い教育、福祉、医療、生活を享受しています。どうか(知事の)プロパガンダを信じないでください」

 

このカウンタースピーチで知事演説の信憑性が揺らいだのは疑いない。離席する我那覇さんに手を振ったり、ウインクしたりする出席者もいたという。

 

かくて大役を果たした我那覇さんは、いまもネットを中心に活発な言論活動を展開している。

 

一方、懲りないのが沖縄の革新県政である。翁長氏の後継である玉城デニー知事が、またぞろ国連演説を計画しているのだ。

 

玉城氏は昨秋の知事選に再選後、地元紙のインタビューに「国連や国際社会の場で県民がなぜ辺野古移設反対を訴えているのか幅広く語る」と表明した。「政府にカウンターパート (対応相手)を求めるより、世界に問題提起するほうが幅広いカウンターパートが現れる」とも語り、外国勢力の介入に期待するかのような姿勢もみせた。

 

よもやそのカウンターパートにしたいわけではあるまいが、今夏には訪中を検討しているという。

 

危ない、危ない。ここはジャンヌ・ダルクの出番だ。

 

そう思って我那覇さんに連絡すると、なんと中米のパナマにいた。同国からアメリカを目指す多数の中国系移民の動きを、国際ジャ一ナリストグループと協力して現地取しているのだという。

 

オンラインで問いかけると、我那覇さんはきっぱり答えてくれた。

 

「不法移民まで使って各国各地域への“中国化”をたくらむ中国共産党にとって、沖縄の革新勢力ほどくみしやすい相手はないでしょう。知事の言動も、中国の都合のいいように悪用されかねません。知事が国連で、日本をはずかしめる演説を再びするなら、もちろんカウンタースピーチしますよ」。

 

 

 

■ 気球も撃ち落とせない専守防衛

 

コラムを後で読み返したい時のために、書き起こして掲載しています。

 

気に入った新聞コラム

気球も撃ち落とせない専守防衛 

自衛隊を縛る「ゴマカシ」

 

気球も撃ち落とせない専守防衛  寄稿 元陸上幕僚長・火箱芳文

2023/4/20 07:00 菅原 慎太郎 政治 防衛 憲法改正

 

まったくその通りです。平和ボケ日本、子供でも分かることができない。

この国はどうかしていますね。困りました。できる政治家を期待します。

2023/04/27

元陸上幕僚長・火箱芳文氏 
元陸上幕僚長・火箱芳文氏 

 

火箱 芳文(ひばこ よしふみ、1951年〈昭和26年〉5月- )は、日本の陸上自衛官。三菱重工業株式会社顧問。全日本柔道連盟特別顧問。公益財団法人偕行社安全保障研究委員長。福岡県出身の陸上自衛官である。第10師団長や中部方面総監を経て、第32代陸上幕僚長に就任した。2009年に訪米した際には、アーリントン国立墓地やウォルター・リード陸軍医療センター(英語版)のほか、ワシントンD.C.の全米日系米国人記念碑を訪れた。当時陸上幕僚長だった火箱は、それまで同記念碑を訪れた者のうち最高位の自衛官であったという。2011年に退官、日本戦略研究フォーラム評議員・国家基本問題研究所理事も務める。

 

撃墜され、落下する中国の偵察気球=2月4日、米サウスカロライナ州沖(ロイター=共同) 
撃墜され、落下する中国の偵察気球=2月4日、米サウスカロライナ州沖(ロイター=共同) 

 

 

気球も撃ち落とせない専守防衛 元陸上幕僚長・火箱芳文

 

少し前に、米国やカナダの領空に侵入した中国の偵察気球が米軍機に撃墜されたことが、大きなニュースになっていた。中国は反発していたが、あの撃墜は合法的な行為である。国際法上は気球も「航空機」に分類され、各国は領空侵犯した航空機に対して、無線による着陸指示などに従わなければ、撃墜することが認められているからだ(民間航空機は除く)。だから、中国も分が悪いと思ったのだろう。それ以上のアクションは控えていた。

 

さて、問題はわが国である。このニュースの後、日本上空でも過去に、中国の偵察気球とみられる物体が何度も飛来していたことが明らかになった。これら物体が本当に中国の偵察気球であったとすれば、日本を偵察し放題だったのに、わが国の自衛隊は撃墜も何もできなかったことになる。領空侵犯に対する措置は、一般にいう「戦争」「有事」ではなく、平時の「警察措置」に分類されるが、警察の装備では有効な措置をとり難いので、多くの国で軍隊が任務にあたっている。自衛隊はその重要な役割を果たせなかった。実に情けない話である。

 

なぜ、こんなことになるのかといえば、それは自衛隊が軍隊ではないからである

 

軍隊は国家の主権を守るため、平時・有事にかかわらず国際法が禁じること以外は基本的に何でもできる(もちろん民間人や民間施設などの攻撃などは禁止) というのが、国際法上の原則である。だから米軍は無許可で領空に侵入した気球も撃墜できるのだが、国内法上、軍隊ではないとされている自衛隊は、そういうわけにはいかない。有事の「防衛出動」以外では、自衛隊法などの法規に「〜することができる」などと定められた行動しかとることはできない。自衛隊法には領空侵犯について、「防衛大臣は、自衛隊の部隊に対し、これを着陸させ、又はわが国の領域の上空から退去させるため必要な措置を講じさせることができる」とあるだけだから、着陸や退去を促すことしかできない。無人の気球が言うことを聞かなければ、指をくわえてみているしかない。実に悔しいが、仕方がないのである。

 

もちろん領空侵犯に対する措置でも、一切、武器が使えないわけではない。警察官と同じように、「正当防衛」「緊急避難」のため、つまり自分たちの身を守るためなどには、武器が使えるが、攻撃してこない気球を撃墜はできない。これが軍隊のようで、軍隊ではない自衛隊の現実である。「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」という憲法9条の下で、軍隊ではなく、「必要最小限度の実力組織」(平成29年政府答弁書)と位置付けられた自衛隊なのである。

 

 

「攻撃を受けはじめて」

 

現在、政府・与党では気球を撃墜できるように国内法規やその解釈を改めることが議論されているという。ぜひ知恵を絞ってほしいが、ただ、撃ってこない気球への対処を考えるだけでは不十分である。高い攻撃力を持つ戦闘機の領空侵犯でも、軍隊ではない自衛隊機は「正当防衛」「緊急避難」でしか武器使用はできない。音速レベルの戦闘機の空中戦では、「撃たれる」と察知して「正当防衛」をしようとした瞬間には撃たれているかもしれない。よく「憲法改正は国民の命を危険にさらす」という人がいるが、実際には、「憲法9条が自衛官の命を危険にさらしている」というのが現実なのだ。   

 

軍隊ではない自衛隊には「専守防衛」という制限・制約もつけられている。それが、日本が他国を侵略しない、つまり「攻勢戦略」をとらないという意味だけなら筆者も大賛成だが、残念ながら、専守防衛はそれにとどまらず、必要な防衛力整備や自衛隊の運用を阻害する要因にもなってきた。空母や長距離ミサイルなど新装備を導入しようとするたび、「専守防衛に反する」という反対論で、話がなかなか進まなかった。

 

専守防衛について、わが国は防衛の基本政策と定め、以下のように定義する。

 

「相手から武力攻撃を受けたときにはじめて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神に則った受動的な防衛戦略の姿勢」(令和4年版防衛自書〉

 

要するに、「敵が攻撃してこないと撃ってはならず、それも必要最小限にしろ」というのだ。しかし、国家防衛のため命をかけて某国の強力な軍隊に立ち向かう自衛官に「必要最小限」の装備で行け、「必要最小限」しか戦うなとは、なかなかに酷な話である。それに、敵が攻撃してこないと撃てないというのは、対領空侵犯措置と同じで、「まずは自衛官が死ね」ということにならないだろうか。いや、最初の攻撃が某国の核ミサイルなら、何万、何十万の国民に「死ね」と言っていることにもなろう。

 

「迎撃ミサイルで撃ち落とせばいい」と思う人がいるかもしれないが、現実にミサイル攻撃があるとすれば、それは何発か何十発か同時に発射されるから、落とし漏れが出る可能性は否定できない。もし、専守防衛が多数の民間の国民の死を許容する考え方だとすれば、本当に国の防衛の基本政策としてふさわしいのだろうか。

 

 

安保3文書にも残る・・・

 

そもそも、「専守防衛」という言葉だが、文字通り「専ら守る防衛」という意味ならば、現実には成り立たない。国の防衛には攻めてくる敵を攻撃、撃退することが不可欠で、「専ら守る」だけでは防衛はできないからだ。ウクライナ軍を思い浮かべてほしい。侵略してくるロシア軍に対し鉄兜と盾かなにかで自分を守る「専守」で、防衛できるだろうか。それなら、西側各国は戦車や大砲、弾薬等を支援する必要はない。ウクライナが国土防衛の戦争を続けられるのは、応戦、つまり攻撃しているからだ。要するに(そもそも「専守防衛」という言葉からして、ごまかしなのである。

 

岸田文雄内閣は昨年12月、新たな国家安全保障戦略など「安保3文書」を閣議決定した。相手のミサイル発射拠点などを破壊する反撃能力(敵基地攻撃能力)保有、防衛費倍増の方針などを打ち出した画期的な内容だったが、そこには相変わらず専守防衛の維持が明記されていた。野党からは早速、反撃能力保有などに対し「専守防衛に反する」などと批判が出ていたが、残念ながら、論理としては筋が通っている。反撃能力は、相手がミサイル発射準備を始めた段階で先に発射拠点を叩ける能力でもあるから、「武力攻撃を受けたときにはじめて防衛力を行使」する専守防衛とは矛盾するからだ。

 

いくら立派な安保3文書ができても、その中に「専守防衛」があるかぎり自衛隊に関する不毛な批判は繰り返される。それなら、一刻も早く「専守防衛」の4文字を削るべきだろう。もちろん問題は専守防衛だけではない。憲法9条がある限り自衛隊は軍隊ではないのだから、憲法改正も急ぐべきだ。いや、いま自民党を中心に進められている改憲議論は単に現状の自衛隊を9条に書き込もうというものだから、仮に憲法改正が実現しても現状は変わらない恐れもある。 

 

ただ、それでも防衛政策から「専守防衛」というごまかしの言葉を削る意義は大きいはずだ。もし「専守防衛」がなければ日本が侵略的な国になると心配するなら、新しい防衛政策理念を構築すればいい。例えば、あくまで他国の侵略的行為に即して動くのだという意味を込め、「即動防衛」としてもいい。専守防衛は憲法でも法律でも何でもない。単なる政府の方針だ。岸田内閣にその覚悟さえあれば、明日にでもなくすことができるはずだ。

 

 

 

■ グローバルサウス インドの謎

コラムを後で読み返したい時のために、書き起こして掲載しています。

 

私が気に入った新聞コラム・トレンドを読む

グローバルサウス インドの謎 寺田理恵氏

インドの謎に迫る グローバルサウスの主役は国際秩序を揺るがすか

 

2023/4/21 07:00 寺田 理恵 ライフ 本 政治 外交 国際 アジア 学芸万華鏡

 

地政学的にみた、インドの立ち位置と戦略思想はさすがと思わざるを得ません。

これから注目の国ですね。

2023/04/26

 

インドの正体 
インドの正体 

 

 

学芸万華鏡

 

インドの謎に迫る グローバルサウスの主役は国際秩序を揺るがすか

グローバルサウス インドの謎

 

ウクライナ侵攻を巡り、グローバルサウス(GS)と呼ばれる新興国・途上国の多くが対ロシア経済制裁で先進国に同調しなかった。中でもインドは、日米豪と民主主義の価値を共有するはずが、昨年2月の国連安全保障理事会でロシア非難決議を棄権。それどころか、ロシアからの石油購入を増やしている。

 

にもかかわらず、先進国がインドとの関係強化に努めるのはなぜか。謎の多い国だ、という印象を強くした。民主主義陣営にとって重要な国なのか。

 

インドにとってロシアは日米より「ずっと昔からの信頼できるパートナー」だと指摘するのは、『インドの正体』(伊藤融著、中公新書ラクレ)だ。防衛大教授の著者は、曖昧なインドの態度を「大陸国家としての行動」とみる。ソ連時代に平和友好協力条約を結び、兵器購入を続けてきた。その上、中国やパキスタンと陸上で国境を接し緊張関係の続くインドにとっては、その「向こう側」にあるロシアとの関係が戦略的に重要となる。

 

経済秩序を巡る先進国と途上国との溝も指摘する。GSの立場を取るインドの主張は中国とも合致するといい、欧米が問題視するモディ政権下の人権状況にも言及。「大国志向」を持つインドは特定の大国の意向に左有されず、全ての国から実利を引き出すべく立ち回るとみる。

 

「中口と協調する一方で日米と協力もするという一見不可思議な外交政策」を、2000年代以降のインドが進めてきたとするのは、「これからのインド』(堀本武功・村山真弓・三輪博樹編、東京大学出版会)だ。本書は13人の研究者がモディ政権下のインドの変貌を政治・経済や国際関係など多角的な観点で捉えたもので、令和3年刊行。「大国を指向するモディ外交」 (堀本)と題した章で、インド外交の構造を、グローバル▽リージョナル(インド太平洋)▽ローカル(南アジア)―の3レベルに分けて読み解いている。

 

インドは、グローバルには大国を目指しつつも、米中と国力に開きがある。とりあえず中ロや日米と安定的な関係を存続できればいいので、インド外交の主戦場は当面、「インド太平洋」になるとの見方を示す。 

 

インド洋と太平洋をつなげる「インド太平洋」の概念が米豪で広がった背景には、中国の海洋進出がある。こう指摘するのは『第三の大国インドの思考』(笠井亮平著、文春新書)だ。日印関係史が専門の著者は、中国の「一帯一路」と日米豪が進める「インド太平洋」の経済圏構想のせめぎ合いを軸にインドの戦略を分析した。

 

インド洋でもスリランカが返済能力を超える中国の融資で「債務の罠」に陥り、港の運営権を中国側に譲渡するなど中国の影響力が拡大。この勢力争いの鍵はインドとの連携だと説く。人口で中国を今年抜くとみられ、経済成長と軍事大国化が進むインドは、国力増大を背景に海洋にも目を向けたという。

 

インドを理解するのがなぜ困難なのか。インドのジャイシャンカル外相は自著『インド外交の流儀』(自水社)で「インドの思考プロセスに対する無知」を挙げ、戦略思想を知る上で重要な古代インギ叙事詩『マハーバーラタ)がイタリアの古典『君主論』や中国の『三国志』に比べ読まれていないことを例示している。国際社会で存在感を高めるGSと日本が連携するには、それぞれの歴史や文化を尊重すべきだろう。(寺田理恵)

 

 

これからのインド 
これからのインド 
第三の大国 インドの思想 
第三の大国 インドの思想 

 

 

 

■ 米保守が「ESG」拒否する理由

 

コラムを後で読み返したい時のために、書き起こして掲載しています。

 

気に入った新聞コラム

米保守が「ESG」拒否する理由 

キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・杉山大志

 

2023/4/19 08:00 杉山 大志 オピニオン 正論

 

環境、社会、企業ガバナンスを考慮した投資や事業を行うこと。かなり難しい問題ですが、専門家の提言をまず素直に聞きたい気がします。

2023/04/21

キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・ 杉山大志氏 
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・ 杉山大志氏 

杉山 大志(すぎやま たいし、1969年- )は、日本のエネルギー・環境研究者。地球温暖化問題およびエネルギー政策を専門とする。地球温暖化による気候危機説については懐疑派である。キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科特任教授。2004年より気候変動に関する政府間パネル(IPCC)評価報告書等の執筆者。産業構造審議会産業技術環境分科会 地球環境小委員会地球温暖化対策検討ワーキンググループ委員。総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会省エネルギー小委員会工場等判断基準ワーキンググループ委員。2020年より産経新聞「正論」欄執筆陣。

 

 

米フロリダ州のロン・デサンティス知事。「反ESG」の急先鋒だ(共同) 
米フロリダ州のロン・デサンティス知事。「反ESG」の急先鋒だ(共同) 

 

 

米保守が「ESG」拒否する理由 

キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・杉山大志

 

「ESGは、米国の存立基盤である経済と自由を脅かす。だからフロリダでは誕生させない」

 

ESGとは環境(E)、社会(S)、企業ガバナンス(G)を考慮した投資や事業を行うことだ。これまで日本では、ESGは今後「世界の潮流」になると喧伝(けんでん)されてきた。それを真っ向から批判する。

 

何と強烈な言葉だろうか。これを述べたのは誰かといえば、いま最も注目を浴びている政治家であるフロリダ州知事、ロン・デサンティス氏である。トランプ前大統領に次ぐ人気を誇る、共和党の有力な大統領候補だ。そのデサンティス氏が強力に反ESG運動を率いている。

 

 

経済と自由が損なわれる

 

ESGとは、要は「良い」会社や事業に投資しましょうということなのだが、その「良い」とはいったい何か、それを誰が決めるのか、といった問題が生じる。

 

民主党のバイデン政権は、投資アドバイザー、投資ファンド、年金基金、金融機関などに対し、投資に際しESGの視点を織り込むよう、ルールを整えてきた。例えば労働省は、年金を運用するに際し、ESGを考慮するよう関係機関に求めるようになった。

 

これに対し、デサンティス氏は3月16日に「バイデン氏のESG金融詐欺と闘う」という18の州知事との連名での声明を発表した。名を連ねたのはいずれも共和党の州知事たちである。いわゆる米国のレッド・ステートだ。

 

声明のポイントは2つだ。第1は経済的なもので、運用の在り方がESGによって歪(ゆが)められ、環境などの目的が優先される結果、国民の利益を損なうことだ。第2は自由に関わるもので、選挙されたわけでもない高級官僚や金融機関が、自分たちエリート好みの特定の価値観に沿った投資を強制するのはおかしい、ということだ。

 

米国ではここ数年、民主党政権の下、性的少数派のLGBT、人種・移民問題、銃規制、そして環境などの様々な問題について、左翼リベラル的な価値が相次いで制度化されてきた。その対象は経済活動にも及び、ESGは最前線で具現するものだった。

 

 

まるで「社会主義」と反発

 

だが、かかる動きは「覚醒した資本主義」と揶揄(やゆ)され、まるで社会主義だとして反対が起こった。伝統的価値を重んじる保守層と軋轢(あつれき)を起こし、党派的な分断が深まった。

 

デサンティス知事はフロリダ州において州政府のみならず、民間企業の業務からも徹底的にESGを排除するよう、禁止を規定した法案を提出している。この法案が成立すれば、先の声明に名を連ねた18州も類似の法律を制定してゆくとみられ、影響は大きくなるだろう。

 

ESGへの反対にはもう1つの側面がある。それは州民のお金を預かるほか、州内で事業をしておきながら、ESGを理由に州内の産業に投資をしないことは不適切だ、ということだ。

 

これまでも石炭、石油、天然ガスの採掘や、それを燃料にして事業を営む企業が、ESGを理由に投資や融資を受けられなくなり、事業の売却を余儀なくされるといった圧力を受けてきた。

 

だが米国には化石燃料に関連する産業で潤っている州は多い。石油、天然ガスの生産量、石炭の埋蔵量も世界一である。

 

このため共和党は、バイデン政権の進めるグリーンディール(日本で言う脱炭素)や、その推進手段であるESGの強化には強固に反対してきた。

 

のみならず、民主党の議員であっても、ウェストバージニア州選出のマンチン上院議員らを筆頭に、化石燃料産業への抑圧には反発がある。

 

民主党から造反者が出たため、この3月の初めには、米連邦議会で上下両院とも、「労働省の年金基金運用はESGを考慮する」という規則を否定する決議が通ってしまった。結局これはバイデン大統領が拒否権を行使したので無効になったが、米国ではいかにESGが不人気なのかよく分かる。

 

 

日本もESG再考の時

 

それでは気候変動はどうなるのか、と読者は思われるかもしれない。実は米共和党は、気候危機説は誇張が過ぎ、極端な脱炭素は不適切だと認識している。トランプ氏だけが例外なのではなく、デサンティス氏も含めて、共和党の重鎮はみな同じだ。

 

さて日本はどうするか。経済と安全保障の基盤として、化石燃料利用への投資は必須であり、またいま防衛産業の強化も急務だ。だがESGはこういった産業を投資対象から外す傾向にある。

 

しかもこれが国民の意見が全く届かないところで、海外の左翼リベラルによる価値の押し付けという形で決定されてゆく、ということで果たしてよいのだろうか。

 

フロリダ州の経済はデサンティス知事の下で絶好調である。起業が相次ぎ、失業率は低く、世界から投資がなされている。日本もESG一辺倒をやめ、自らの経済と自由を守るべきではないのか。(すぎやま たいし)

 

 

 

■ 中国人の便宜主義に注意

コラムを後で読み返したい時のために、書き起こして掲載しています。

 

気に入った新聞コラム

中国人の便宜主義に注意

古典個展 大阪大名誉教授 加地伸行

 

2023/4/16 08:00 加地 伸行 ライフ 学術・アート

 

中国人の考え方の本質をついた論評、日本人はその辺のことがわかっていない子供のような感じかな。

2023/04/16

 

大阪大名誉教授 加地伸行氏
大阪大名誉教授 加地伸行氏

 

加地 伸行(かじ のぶゆき、1936年〈昭和11年〉4月10日[1] - )は、日本の中国哲学者。大阪大学名誉教授、立命館大学フェロー、Z会顧問。号は孤剣楼。筆名は二畳庵主人。『漢文法基礎』の著者としても知られる。大阪市出身。大阪府立北野高等学校を経て、1960年京都大学文学部卒業。卒業論文では『孝経』を扱う。1963年京都大学大学院修士課程修了。高野山大学、名古屋大学で教鞭を執った後、1982年「『公孫龍子』の研究」で東北大学文学博士(主査は金谷治)。1983年、大阪大学文学部教授。1997年に定年退官し、大阪大学名誉教授となる。阪大退官後は甲子園短期大学学長、同志社大学研究開発推進機構専任フェロー、立命館大学フェロー、立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所研究顧問を歴任。2017年1月、産経新聞の英語版ウェブサイトを運営する一般社団法人ジャパンフォワード推進機構の理事となる。

 

 

古典個展 大阪大名誉教授 加地伸行

中国人の便宜主義に注意

 

日本が今後、最も警戒しなくてはならない国家が中国であることは、衆目の一致するところであろう。もちろん思想的にも軍事的にもである。

 

その際、注意しなくてはならないものがある。それは、中国人特有の便宜主義―その奥にある徹底的利己主義である。

 

大陸の政権ではないが、「中国人」という意味で私の体験を紹介したい。その昔、私は台湾に留学した。名古屋大学助教授のときである。渡台すると第一に関係者にまず挨拶(あいさつ)に回った。そして最後に関係教室の助手のもとへとなり、若い助手に万々よろしくと身分を示して挨拶した。その助手の返事の第一声に驚いた。彼女は、なんとこう言ったのである。「(名大助教授の)給料はいくらか」と。

 

それはないでしょうと思うのは日本人。相手に対して給料はいくらかと問うのは、中国人にとっては自然なことであった。こちらが心得なかっただけ。

 

もちろん、いつも率直というわけではない。中国人はお愛想を言うのも上手である。

 

ということは、常にまず自分があって、となる。それはなにも中国人だけの話ではない。ただ、それを早く出すか出さないかの相違であろう。

 

だから、事に矛盾があろうとなかろうと大したことではなく、事がうまく運ぶことをもって第一とする現実主義が中国人の姿なのである。

 

例えば、現中国政権は堂々とこう言っている。政治は共産主義(中国憲法では社会主義)、経済は資本主義でいく、と。日本人ならば、たとえそう思っていても、まず口には出さない。となると、中国の現政権は信用できないと断ずる日本人が多くなることであろう。

 

しかし、中国史を顧(かえり)みると、紀元前202年に始まる前漢王朝が対立する2つの政治思想を平気で共に生かして政治を行っていたのである。その後の諸王朝もすべて同じことを行い続け、1911年に王朝制度が崩壊するまで続いたのである。

では、その2つとは何か。

制度・文化等(とう)は儒教思想に依(よ)り、治安・戦争等は法家思想に依るとする。儒教は、道徳(強制なし)に依り、法家は、法(法制)に依るのが原則。

 

すなわち、法と道徳という対立する考え方の両方を<適当に混ぜて現実に対応する>という政治を約2千年間行ってきたということなのである。

 

とあれば、共産主義と資本主義を適当に雑(ま)ぜ繰(く)ることなど、どうってことはない。中国人にとってみれば。

 

政治を行うならば、2つのうちのどちらか1つを取れ、というのは、日本的潔癖さにすぎない。テレビの国会中継を観(み)ていると、野党の質問内容など潔癖そのもの。小学校のクラス討論並(なみ)に正直すぎる。それでは中国政治に太刀打ちは無理。

 

 

外国勢力は強(したた)かである。自分側にとって得(とく)になるとなると、平気で噓(うそ)もつくし、約束など守らない。特に中国に対しては用心の上にも用心が肝心である。

 

『論語』憲問に曰(いわ)く、言(げん) 有(あ)る者は、必ずしも徳有らず、と。

(かじ のぶゆき)

 

 

 

■ トランプ大統領が嗤う 日本人の傾向と対策

 

2017/07/14に読了した、トランプ大統領が嗤う

「日本人の傾向と対策」ケント・ギルバート著を掲載します。

 

要約まとめを読み直し再度修正しました。

2023/04/15

 

戦後の日本人の問題点を鋭く指摘したこの本は、非常に的を獲ている内容でした。

「米国人からみた日本人の傾向と対策」、非常に刺激を受けた本です。

 

カリフォルニア州弁護士 ケント・ギルバート氏 
カリフォルニア州弁護士 ケント・ギルバート氏 

 

ケント・シドニー・ギルバート(英: Kent Sidney Gilbert、1952年5月25日 - )は、アメリカ合衆国アイダホ州出身の外国人タレント、カリフォルニア州弁護士。岡山理科大学客員教授。

 

 

トランプ大統領が嗤う

日本人の傾向と対策 要約  ケント・ギルバート著

2017/07/14読了 修正2023/03/17

 

序章:バカに国防を依存するのか

■ファクトの無視は見逃せない

●リメンバーパールハーバーは米政府のプロパガンダだった。

●東京大空襲や原爆投下は戦時国際法違反の戦争犯罪だ。

●占領期にGHQが施したWGIPが、日本人の伝統的価値観や愛国心を破壊して、日本を弱体化させる目的だった事実。

 

■私を「ネトウヨ」と批判する怠け者たち

●事実むこんの歴史問題で日本を攻撃する中国や韓国を「主張が歴史上の真実かどうかなど、最初から気にしていない」「嘘をつくことに罪悪感がない」と記し、日本に二度と「謝罪外交」はしてはならないと訴える。

●それに対する中韓の支持者批判は、戦後の日本人を意図的にダメにした日教組の成果か。

●事実を自分で確かめず、頭から拒絶する態度は、「怠け者」以外の何者でもない。

●道徳心と倫理観が欠如している。

 

■「昔のケント」と学習を拒む人

 

■日本人の議論は欧米の小学生以下

●論理的かつ冷静に議論することが民主主義の根幹である。

■嘘の常識を「見返してやる」ときだ

●インターネットの注意は、プロパガンダが真実へとすり替わる過程である。

 

■トランプ大統領誕生は「平成の黒船来航」

●トランプ大統領誕生は、日本が戦後の米国依存を終わらせて自立するのに役立つ。

●「米国人はバカだ!」と憤る人がいるが「バカに国防を依存する日本人はもっとバカだ!」

●面白いのは、北朝鮮の核実験、ミサイル、中国の尖閣・沖縄での行動に騒がないメディアが、「日米安保や在日米軍はどうなるのか?」話題にし始めたことだ。

●トランプ氏は「日本人は自分の国を自分の力で守れ」と当たり前のことを主張している。その実行には日本国憲法第9条が邪魔である。「憲法9条のおかげで日本は平和だった」などという夢物語から日本人が覚醒し、憲法改正の議論が一気に進むことを期待している。

 

第1章:トランプ大統領が嗤う日本人

■「米国依存症」の重症患者

●日米安全保障条約で、米軍は事実上日本の傭兵になった。米国の愚策で日本軍を解体したが、本当の敵は共産主義勢力だった。

●日米安保で70年間守られた。「米国依存症」の重症患者である。政府や国会も、日本を真の独立主権国家に戻す努力を怠ってきた。

●中国と対峙すべき主役は、地理的・歴史的に考えれば日本だということは小学生でもわかる。本気で沖縄を奪いにきて中国と戦争が起きるとすればそれは日本の戦争である。日本が抑止力を高めなければ、米国が日本の戦争に巻き込まれる。

●日本を侵略支配すれば、インフラ、技術、人材まで、すべてが揃う。日本人はチベットやウルグアイの人々のように、事実上の奴隷になるのだ。平和ボケは日本と日本人の価値すら分かっていない。

 

■本心を「憲法違反」で覆い隠す卑怯

●米国は70年代から中国を手助ければ、民主化も進み、最後は資本主義陣営に取り込めると信じていた。米国に追従した日本はODAや民間投資で中国を支援支しモンスターに育て上げた。誤りだった。

●米国だけに依存する安全保障体制の脆弱性も改めて明確になった。

●2016年2月、野党5党が「安保法制は違憲だ」と主張しているが、「日米の信頼関係を破壊したい」という野党の宣言に見える。野党の安保法制の廃棄は中国が以前から待ち望む展開である。

 

■「妄想」を公の場で話せる人たち

●2016年トランプ氏は「日米安保条約は不公平だ」、「在日米軍は撤退していい」「防衛に核兵器が必要なら日本が自分で持てばいい」と言い出した。

●仮に、在日米軍が撤退し、日本が憲法第9条に手足を縛られたままならば、中国は確実に、尖閣列島だけでなく沖縄本島を奪いにくる。最終的には、」ありとあらゆる最新インフラと、勤勉で優秀な国民がセットで存在する日本国のすべてを支配したいと考えるはずだ。こうした最悪の事態を「あり得ない」と一蹴する人間は、歴史や現実から目を背ける「平和ボケ」か「敵の回し者」のいずれかだろう。

●ジャーナリストならだれでも想像すべき問題だが、その点を論じる報道は少ない。

 

■米国は「イチかバチかの国」

●トランプ氏の大躍進を見て、私は米国が「イチかバチかの国」であることを再認識した。米国人にとって変化とは「善」であり、不都合な現実を放置することは「悪」である。

●日本人は不都合な現実に気付いても、見て見ぬふりをして問題の表面化を避けたがる。そんな放置の累積が「国家の災い」を拡大させてきた。日本人の全体見謬性にこだわり、「不作為の罪」への罪悪感が薄いのかもしれない。

 

■トランプ氏と日本の野党はどちらがマシか

●日本のテレビ局は国民の「知る権利」を担保する責任が弱い。

●あらかじめ改正規定が盛り込まれた憲法を「絶対変えさせない」という感情的に拒否する態度は、もはや政治家ではなく、「聖典を護れ」という信者に号令する宗教家のようだ。

 

■変化を熱望する米国人

■「ドッテルテ現象」と「トランプ現象」

 

第2章:平和についての彼らの戯れ言

■米国人が戦争を好きになれるわけがない

●日本国憲法第9条は強すぎた旧日本軍にGHQが科した宮刑(去勢)である。日本は軍事に関する教育や報道に、偏向と偏見がある。

●フランクリン・ルーズベルトは第二次世界大戦への参戦を望んでいた。しかし米世論は許さなかった。だから彼は日本を執拗に挑発し、真珠湾の先制攻撃へと追い込んだ。そして今でも、だまされたままの国民が日米双方に多い。

●「自称平和運動家」は、自分たちの生活が軍隊の抑止力で守られている現実を認めない。自衛隊と在日米軍がいなければ、日本に敵意と侵略意思を抱く国は、明日にもくうばくや海岸線侵攻を始めるかもしれない。

 

■この目で見た普天間と辺野古の真実

●普天間の件・・地方自治体の首長が、国の安全保障問題を左右できるとしたら、その国は法制度に致命的欠陥を抱えている。外交や安全保障は国家の専権事項である。これは主権国家の国際常識だ。

●沖縄県警は、反対派違法行為を放置すべきでない。マスコミが警察や米軍の対応を不当とする報道もおかしい。

 

■沖縄は「サンダーバード」の島

●強い軍隊の戦争抑止力は人命救助そのものである・・20世紀の戦争・内戦で失われた人命は、ナチス:約6000万人、ソ連スターリン:約2000万人、中国毛沢東:2000~5000万人餓死と殺害、朝鮮戦争:約500万人と推定。

 

■「正当防衛」で困るのは敵だけ

●正当防衛を行う権利は「自衛権」とすれば、自己の権利を防衛するのは個別的自衛権であり、他人の権利を防衛するのが集団的自営権である。

●国連憲章ではすべての国連加盟国に両方の自衛権を認めている。

●日本は集団的自衛権を放棄してまで日本が米軍に依存してきた理由は、強引に武力を奪った米国への復讐だったかもしれない。しかしそろそろ自立すべきだろう。世界中で安保法案に反対する国は、中国、北朝鮮、韓国の3つだけだ。安保法のキャッチコピーは「戦争をしたくないから備える」を推薦したい。

 

■戦争体験者である女性作家の論理矛盾

●女性作家の論理矛盾

1945年8月9日、ソ連は日ソ中立条約を一方的に破棄して、満州。樺太、千島へ侵略した。

一週間もせず日本はポスダム宣言を受諾。・・武装解除した。その後満州では中国人やソ連兵による暴動や略奪が相次いだ。武装解除したため日本人居留者を守れなかった。

強い軍隊がなければ国は国民を守れない。

それなのに、憲法9条を信奉し、国の自衛権強化の安保法案に反対する矛盾が不思議である。

 

■翁長知事が中国とのパイプを生かす方法

●国防に関する国家間の合意を、県知事一人の裁量で反故にできるのなら、日本の統治制度には致命的欠陥がある。

●活動家の大半は、名護市民でも沖縄県民でもないと聞く。

 

■「カミカゼ」と卑劣なテロは全く別物

■対北決議を欠席・棄権した国会議員

●核実験に対し、日本は北朝鮮に対し世論をあげて抗議すべきだ。・・日本の報道は呑気過ぎ。

●第二次世界大戦終結後の1948年、ソ連の強い影響下で金日成主席が建国したのが北朝鮮。

国際法完全無視、ウソを恥じない国、絶対君主の国である。

 

■中国軍艦の示威行動をスルーした知事

●中国軍艦の示威行動を無視の知事。尖閣を武力で奪う示威行動に翁長知事はノーコメント。

 

■あの団体が米軍を追い出したあと

●米軍を追い払出せば、チベットやウルグアイと同じく、人民解放軍が沖縄を蹂躙するだろう。

 

■「9条教」信者と拉致問題

●日本は憲法第9条があるせいで奪還作戦ができない。だから続々と拉致されたのだ。

 

第3章:サルでもわかる中国の悪意をスルー

■まず中国は=PRCだと確認したい

●国連常任理事国とは本来、第二次世界大戦の戦勝5カ国だった。しかし現中国PRC(中華人民共和国)は1949年10月の建国で終戦時には存在しない。国連加盟は71年である。大戦時の中国とは、蒋介石率いる中華民国(国民党政府)である。

中国を建国した毛沢東率いる中国共産党軍(八路軍)は当時、ゲリラ組織で国民党軍と国共内戦を戦っていた。中国の歴史はわずか65年。その短い歴史の中でチベットとウルグアイに侵攻し、朝鮮戦争と中印戦争にも参戦した。

●米英仏ソ4カ国は戦勝国。まともに戦うこともなく中華民国は政治的理由で戦勝国扱い。その後中国は中華民国を国連から追い出し、常任理事国の地位を得た。敗戦の日本軍の全装備技術をソ連に接収され、ソ連は装備を中国に与えた。残留日本人のうち、軍人や医師、看護婦らが共生連行され、軍事戦略や飛行機の操縦技術、医療などを教えた。これによって共済イ軍は航空隊や砲兵隊、医療班を持つ近代的軍隊になり、国民党軍に勝った。

●現中国(中華人民共和国)建国時から日本人の世話になり、後に日本のODA(政府開発援助)と民間投資を得て発展した。ところが現在、最大の恩人の日本を、プロパガンダで貶め、自然を破壊し、軍事的に脅かしている。

 

■中国の外相発言で真っ先に浮かんだ国・・PRC

●中国は1949年の建国以来、中国共産党一党独裁の下、ウルグアイ侵攻、チベット侵攻、モンゴル粛清、朝鮮戦争、中印戦争など、「ファッシズム戦争」を続々引き起こした。昨今は過去の侵略の罪をごまかし、日本やフィリピンへの侵略の野心を隠そうとしない。

●中国は第二次世界大戦後、米国とソ連の思惑で生まれた。育てたのが日本ODAである。

日本人は中国の歴史を知らなすぎる。中国の真の姿を報道する日本のメディアは珍しい。

 

■多民族国家・米国の方針

●日本人が米国への移住を始めたのは明治中期、19世紀末だ。その後大東亜戦争で日米は敵国同士となり、日系人は米国籍保有者でも資産を没収され、強制収容所に入れらる。

●戦後日系人にたいする差別や偏見は、比較的早い段階でなくなった。日系人が強く団結して日本や日系人社会のために政治運動行う動きは余り見られない。移民国家たる米国の理想的な姿だと思う。

 

■米国での反日活動は公民権法に反する

●米国での反日活動は、公民権法に反する。米カリフォルニア州の政治ロビー組織「抗日連合会」。

正式名称は「アジアにおける第2次世界大戦の史実を保存する世界連合会」だ。ところが漢字の正式名称は「世界抗日戦争史実維護連合会」略称「抗日連合会」。つまり日本に抗議する団体だと認めている。

●中国は第二次世界大戦を「抗日戦争」と呼ぶ。慰安婦問題:20万人の慰安婦は計算が合わない。約100万人の日本兵。計算能力は皆無だ。南京30万人大虐殺や慰安婦20万人強制連行など。差別を無くしたい公民権法の趣旨に反する。米国は取り締まれるよう法改正すべきだ。

 

■中国の人権弾圧になぜか沈黙の日弁連

●中国の人権派弁護士弾圧に日弁連はノーコメント。

 

■中国のローカル・ルールと踏み絵

●中国は2015年9月3日、「抗日戦争と世反ファッシズム戦争勝利70周年記念」の式典を開催した。

史実を無視したネーミングで、大ウソつき恥知らず国家だ。しかしこれは意図的に発した警告であり、踏み絵だった。踏み絵を踏んだのは韓国。

●日米両国は国連を脱退して、新しい国際組織を創設すべき。

 

■なぜ中共を信用できるのか?と聞きたい

●PRCの内情は本当にひどい。民族虐殺や人権侵害、情報隠蔽、賄賂、横領、環境汚染などきりがない。

●PECの「中華思想」には国境の概念がない。世界はもともと、全て「中華民族」の所有であり、今、どの国が領有権を主張していようとも、「一時的に預けているだけ」だという。

 

■自称・現実主義者と中共幹部

●南シナ海、尖閣での国際法無視や、ウルグル、チベット、内モンゴル、での民族虐殺。覇権主義国家が野心を隠さなくなった。

●憲法を改正し「本物の自立国家」へと復活することが、日本の最優先課題だとおもう。

 

■日本人の美徳は中国に通じない

●日本人の美徳は中国に通じない。

●中国、北朝鮮、韓国に、美徳や共通意識、立ち振る舞いを望むのは、不可能だと認識すべきだ。

●かつての中国大陸の道徳文化は既に滅び、中国(PRC)には何も引き継がれていない。

 

■国際法も常識も通用しない国

●PRCは国際法も常識も通用しない国である。国会は法改正を急ぐべきだ。国民の生命と財産が脅かされている現状を放置するのは、国会が「不作為の罪」犯していると言わざるを得ない。

■火事場泥棒に「卑怯者」と叫んでも無意味

●第2次世界大戦の原爆投下後にソ連が侵攻し、ポツダム宣言受諾後も進撃し北方領土を強奪した。火事場泥棒には抑止力が重要である。

 

■これがハワイやグアムの沖なら

●沖縄県・尖閣諸島周辺に2016年約300隻の中語漁船が集結、事実上の軍事行動・侵略行為である。

●いつも「戦争反対」を叫ぶ日本の市民団体やマスコミは何をやっているのか。

●一見平和的なこの日本の態度が、昨今の事態を招いた最大の原因である。政府と外務省、メディアによる「事なかれ主義の外交」のなれの果てだ。

●尖閣は日本国所有なのだから、自衛隊を派遣して上陸させ守ればいい。

●安倍首相は靖国の英霊を顕彰する正統性と必要性を訴えるべきなのだ。朝日新聞の悪質なプロパガンダと、米中韓の内政干渉に屈した現状は、あまりにも情けない。

 

第4章:憲法も民主主義も話がズレている。

■米国では「憲法とはどうあるべきか」を学ぶ

●米軍基地反対運動や琉球独立運動のバックには中国共産党がいる。

●憲法学者に安保法案の見解を求めるのは無意味だ。専門外だからである。

●憲法は国民を守る目的で定められるべき。米国では憲法とはどうあるべきかを学ぶ。

 

■尊敬できない政治家

●暴力で審議を邪魔する政治家。目前に迫る国家の危機を無視して重要法案に難癖を付ける政治家。「戦争反対」と国会を取り囲んでも、日本を挑発する汚職大国に文句ひとつ言わない政治家。自分の行動が原因で日本の名誉が損なわれたのに、潔く謝らず言い訳を続ける政治家。彼らは尊敬できない。

 

■立憲主義の意味を理解していない人たち

●1946年、当時の吉田首相:「日本は憲法第9条で、自衛のための軍備と自衛戦争の両方を放棄した」と答弁した。新憲法制定時は確実にこの趣旨だった。

●1950年朝鮮戦争勃発時、吉田首相は「第9条は自衛権を放棄していない」と当初の憲法解釈を一転させ、後の自衛隊の整備を始めた。日本占領下のGHQの意向である。警察予備隊・・のちの自衛隊。

●日本人は、国防に必要な法整備ができないリスクを憂慮すべきだ。日本は米国に依存せず、目の前に迫った危機を自分の力で解決すべきなのだ。

 

■暴力行為の容認

●安全保障関連法案が2015年9月19日参議院で可決。

●民主党・・「あらゆる手段で成立阻止を目指す」「暴力を容認する政党」。この疑惑を報じないメディアも同罪。

 

■憲法9条こそ憲法違反

●護憲家伊藤真弁護士の説:日米安保条約破棄、自衛隊廃止、日本は非武装中立となり、軍隊以外で国を守る・・性善説・・?。非武装で日本を守る方法が私には想像できない。

●私の発言・・「憲法9条こそ憲法違反」・・憲法とは本来権力者に義務を課すことで、専制を防ぐものだ。

権力者の義務には、他国の侵略を防ぐ国防が含まれる。歴史上の国防手段は、軍事力と軍事同盟である。

 

■テロリストの「思うつぼ」

●テロの最大の目的は、大衆に恐怖を与え、結束を分断する事。

 

■「無自覚サヨク」と「憲法改正アレルギー」

■人権派弁護士が共産党にいる不思議

■民進党では「PRC日本省」一直線

■「殺したがるバカども」というレッテル

■「1票の格差」是正は絶対的正義ではない

 

第5章:なぜ世界の複雑さを知ろうとしない

■世界に誇るべき日本語の表現力

■千年たっても先進国になれない国

●韓国は千年経っても先進国ではない

 

■米国「第2の聖書」は道徳読本

■「反米かつ反中主義者」に説教したい

●米国が終戦後の日本に施した悪事:WGIP、プレスコード、9条がペナルティである事実など米国が終戦時に施した悪事を知ると「反米」を唱える人が出てくる。しかしPRCの軍事的脅威を警告しつつ、同時に「反米」を唱える人の思考回路は全く理解できない。

■モータースポーツで日本の強さがわかる

●「日本人は忍耐強いが、実はたたかいはもっと強い」

 

■日本人と韓国人の謝罪摩擦

●韓国人の謝罪は、感情の問題ではない。謝罪をすれば罪を認めた罪人、謝罪を受けた側は罪人をいたぶる特権を得る。過去を水に流さない。

●国際法上、1965年の日韓基本条約で合併時代の問題は全て解決済み。日本人の性善説的な常識を外交に持ち込んだ、政治家と外交官の責任は重い。拓殖大学国際学部教授:呉善花オソンファを熟読した方がいい。

 

■米国でも報じられた韓国「黒歴史」

●ベトナム戦争時の韓国軍によるベトナム女性の強姦。韓国軍専用の慰安所報じられない。

朝鮮戦争で中国義勇軍が多くの韓国人を殺した歴史。4万人強の米兵が朝鮮戦争で戦死。

 

■アジアの国々が独立したきっかけ

●インドの潜在能力と将来性の大きさは、間違いなく世界一である。

●白人の大国ロシアに、有色人種の小国だった日本が勝利を収めた衝撃の意味を、一番理解していないのは戦後の日本人だろう。

 

■米大統領の岩国スピーチは「返歌」

■最高裁がソウルに、国会が中国に・・英国

 

第6章:「メディアの飼い主は誰か」がポイント

■粉飾報道がつくった日本の「平和」

●メディアの粉飾報道が作った、平和天安門事件、文化大革命、チベット人弾圧、ウルグアイ人虐殺、等は報道されない。

●日本は戦後70年ずっと平和だったというが、実は「粉飾報道」が行われてきただけかもしれない。

 

■テレビ朝日は親会社・朝日を誡めよ

●南京事件:WGIPの贖罪意識報道:人口20万の南京で、30万の市民が虐殺され、1か月後に人口が25万人に増えたという事実は、知られていない。

●2014年8月の慰安婦問題の大誤報取り消しから1年以上が経過した。日本人の利益を考えるならば、欧米や中韓の新聞雑誌に「誤報訂正広告」を各国語で載せるべきだが、その気配は一向にない。

 

■「武力を使わない情報戦争」の真っただ中

●スイス:人口800万人弱:国土も九州程度:17.6万人の軍隊ある。軍事力によってこそ国の独立が守られる・・・戦争は情報戦からを熟知している。

●スイス政府は冷戦時代、「民間防衛」という小冊子を作成し、一般家庭に配った。

●「武力を使わない情報戦争」の手順が書かれている。日本が「武力を使わない情報戦争」の真っただ中にあり、最終段階が近付いていつ事を、誰が否定できるのだろうか。

 

■マスコミ各社の自己検閲が終わるとき

●1945年8月、ポツダム宣言を受諾するまで、台湾は日本領だった。敗戦により、台湾の領有権を放棄後、蒋介石の中華民国が上陸し台湾は事実上中華民国領になった。

●中台間は、共産党政府が国民党政府から中国大陸の領有権を奪った歴史があるだけ。

●日本の報道機関は、プロパガンダ機関だ。報道しない自由。

 

■日本国憲法を読んだのか

●憲法第9条の条文を現実に合わせることが必要。

 

■私も騙された靖国プロパガンダ

■飼い主を変更してきた忠犬メディア

●米国の原爆投下は国際法違反、戦争犯罪である・・・GHQの情報統制は今も生きている。

朝日新聞を筆頭とする国内メディアは豹変し、GHQに忠誠を誓い「飼い主」を変更した。

●2016年8月、バイデン米副大統領のトランプ氏を揶揄した発言。「彼は(日本が)核保有国になり得ないとする日本国憲法を、私たちが書いたことを知らないのか」と発言した。日本国憲法が「民定憲法」ではなく「米定憲法」である事実。GHQの情報統制は現代まで生きている。

 

■「ジャパンタイムズ」と「性奴隷」

●米国立公文書館・・1944年慰安婦で働くビルマ20人の尋問報告:慰安婦は雇用されていた、お金たっぷり、将校とスポーツ、ピクニック、演奏会、夕食会、蓄音機もつ、都会での買い物。が残る。

■朝日に載った「疑問の声」

 

第7章:ききすぎてしまったプロパガンダ

■「GHQの思惑通り」を修正せよ

●GHQダグラスマッカーサー談:日本の戦争は、安全保障(自衛)が動機だった。侵略戦争はGHQのプロパガンダ。」

●戦後70年、そろそろ、日本は近現代の間違った歴史認識の修正を堂々と主張すべきである。

 

■「勝てば官軍」の怖さ

●20世紀半ばまで、先進国による発展途上国の植民地化に疑問をもつ白人国家は皆無だった恥ずべき事実。30年代後半アフリカ大陸は全土。アジアで独立維持は日本とトルコだけ。

●植民地を解放、アジア人が共栄できる世界が「大義」の「戦争が、大東亜戦争である。・・GHQが太平洋戦争にした。勝てば官軍のプロパガンダ効果。

 

■米国民にたたき込んだ真珠湾プロパガンダ

●真珠湾攻撃の宣戦布告も、米国のプロパガンダ。

 

■9条は米法律家として恥ずかしい

●平和憲法を守っていれば他国は日本に戦争を仕掛けない論理は、62年前に破綻。

●日本国憲法公布の6年後、韓国に島根県竹島を強奪されている。

●日本の治安が良いのは、国民性と警察のおかげ。地域を守るのが警察、国家を守るのが軍隊だ。戦後70年間の平和は、在日米軍、自衛隊、日米安保条約のおかげ・・憲法第9条ではない。

 

■国家を歌えない国民

■国民の洗脳を解かれたくない勢力

■GHQの露骨な二重基準

■「ポツダム宣言=無条件降伏」という洗脳

●日本は条件付き降伏だった9月2日。・・・トルーマンが無条件降伏に9月6日に変更した。

 

■ポツダム宣言受諾と阿南陸軍大臣

■NHKがWGIP検証番組を放送するとき

 

第8章:「赤信号を渡り続けているテレビ」が鍵

■テレビ局がつくる有害な勉強不足

■米国人に理解できない「強行採決反対!」

■赤信号を渡り続けている放送事業者

■吉永小百合式「積極的平和主義」の末路

■われわれへの「不当な圧力」

■小林節」教授の「視聴者会」批判

■民主主義国家のメディアじゃない

■「私たちは怒っています!」の面々へ

■「逃げるが勝ち」のテレビキャスターたち

 

 

あとがき

●最新情報や一次資料をその都度検証し、「ファクト」にこだわって原稿を書いてきた。「事実と違う」という抗議をうけたことがない。

●インターネットが発達したおかげである。

●GHQの「ウオー・ギルド・インフォメーション・プログラム(WGIP)」や「プレスコード」に触れない「専門家」が戦後史や日本国憲法について何を論じても、まったく説得力がない。大学も「戦後レジーム」に従う研究者達である。

●日米とも、真実を追求することが疎かにされてきた。戦後70年以上もバレなかった嘘に基づく体制、それこそが「戦後レジーム」と呼ばれるものだが、今後もそれを維持したい人々が、メディアや教育機関を恣意的動かして、最後の悪あがきをしている。米国の今回の大統領選の結果が、日米両国のみならず、国際社会で71年以上も継続した「戦後レジーム」の「終わりの始まり」になるはずだと、私は考えている。

2016年11月・・ケント・ギルバート

 

 

 

■ エネルギーと食料の「継戦能力」

コラムを後で読み返したい時のために、書き起こして掲載しています。

 

気に入った新聞コラム

エネルギーと食料の「継戦能力」 

キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・杉山大志

 

2023/3/14 08:00 杉山 大志 オピニオン 正論

 

エネルギーと食料そして安全保障問題は非常に重要な案件ですね。政府は間違った方向に行っているような気がします。

2023/03/15

環境研究者 杉山大志氏 
環境研究者 杉山大志氏 

 

杉山 大志(すぎやま たいし、1969年- )は、日本のエネルギー・環境研究者。地球温暖化問題およびエネルギー政策を専門とする。地球温暖化による気候危機説については懐疑派である。キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科特任教授。2004年より気候変動に関する政府間パネル(IPCC)評価報告書等の執筆者。産業構造審議会産業技術環境分科会 地球環境小委員会地球温暖化対策検討ワーキンググループ委員。総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会省エネルギー小委員会工場等判断基準ワーキンググループ委員。2020年より産経新聞「正論」欄執筆陣。

 

 

エネルギーと食料の「継戦能力」 

キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・杉山大志

 

自衛隊には弾薬の備蓄が2カ月分しかないと報道されるなど、日本の継戦能力が問題視された。防衛費をGDP(国内総生産)の2%に倍増する方針も示されている。だが武器弾薬だけでは戦争は継続できない。

 

台湾有事が起きて、日本近海が戦場となり、輸送船が狙われて輸入が滞るとどうなるか。

 

原子力こそ重要になる

 

まずエネルギーだが、石油は官民合わせて240日の備蓄があり在庫も合わせるとこれ以上の日数になる。LPG(液化石油ガス)も100日分の在庫がある。

 

だが石炭は1カ月程度、LNG(液化天然ガス)は2週間程度しかない。石炭は長期貯蔵すると自然発火することもあるので、技術的な検討は必要だが、数カ月分を蓄えておくことはできるのではないか。

 

化石燃料とは対照的に、原子力発電はひとたび燃料を装荷すれば通常は1年、非常時であれば3年ぐらいは発電を続けることができる。さらには、ウラン燃料を備蓄をすれば、それよりも長く発電を続けることができる。これは原子力特有の優れた点だ。

 

攻撃に対する防御という点でいえば、日本は歪(いびつ)な対応をしている。原子力だけがテロ対策を強化していて、そのために稼働停止までしている。

 

だが一点集中型の対策は意味が乏しい。石油やガスのタンク、火力発電所などは、簡易な携帯型の兵器やドローンなどでも破壊できてしまう。テロリストは攻撃が成功しやすい標的を選ぶだろう。

 

日本は備蓄を積み増し、隙のない防御態勢を敷くべきだ。原子力を全て再稼働すれば水力と合わせて電力需要の3割を満たせる。

 

後は化石燃料を節約しながら使うことで何とか継戦能力を維持する。太陽光・風力発電は火力発電の調整力が不足すると利用が限られるのが懸念材料だ。

 

現代の食料供給には、莫大(ばくだい)なエネルギーを使う。1カロリーの摂取のために、10カロリーの化石燃料が投入されている。エネルギー消費の3分の1程度は食料関連である。

 

食料自給率を超えて

 

なぜそんなにエネルギーがいるか。家庭の冷蔵、冷凍、調理に加え食品の加工、輸送、冷蔵、冷凍がある。作物生産には農業機械を動かす石油が、肥料や農薬の製造には天然ガスなどが多用される。普段我々が食べているのはエネルギーの塊である。だから平時の食料自給率を高めていてもエネルギー欠乏時には不十分だ。それでも餓死しないためにはどうするか。

 

エネルギーが欠乏してまず起こるのは、大都市への食料輸送が滞り不足することだ。これを乗り切ったとしても、在庫を食べつくせばどうするか。作物を生産する時の肥料、農薬、農業機械動力をどうするか。

 

いまコメの政府備蓄量は100万トンである。1人あたり8キロだから本格的に取り崩せばすぐ無くなる。これに加え在庫もあるが、他の食料を含めもっと長期の備蓄が必要ではないか。次いで肥料と農薬である。肥料は経済安全保障推進法に基づく「特定重要物資」に指定され、備蓄が着手されたが、まだ種類も量も少ない。

 

エネルギー欠乏時の食料供給体制をどうするか、シナリオの検討が必要だ。平時のようなエネルギー依存型の食料供給はそもそも継続不可能である。それに貴重なエネルギーは、軍事作戦の継続に使用されることになる。

 

まずはコメなどの備蓄を取り崩す。その間にエネルギー投入が少なくて済み、しかも収穫量の多い作物を植える。これはサツマイモなどだろうか。肥料、農薬、それにタネも備蓄が必要かもしれない。冷凍・冷蔵やトラックなどは使えなくなる。ならば国民は全国に散らばり、自給自足に近い形で作物を育て食べる。燃料には薪を使うこともあるだろう。

 

平和のために戦争に備える

 

このようにして、たとえ輸入が滞っても、1年ないしそれ以上、飢えることがないようにしなければならない。持ちこたえていれば、国際的な非難が侵略者に対して高まり、米国などから援軍もやってくるだろう。

 

それができず、1カ月で飢餓がはじまり、日本が屈服するようではいけない。そのような脆弱(ぜいじゃく)性を見せれば、敵は実際に日本の輸送船を攻撃するかもしれない。

 

1カ月で日本を屈服させることができるなら、敵は「世界は侵略結果をすぐに既成事実と見なし、自国は早々に国際社会に復帰できるだろう」と読むかもしれない。これは2014年にロシアがクリミアを併合した時に実際に起きたことだ。昨年2月にロシアがウクライナに侵攻したのも「キーウはすぐ陥落しウクライナは短期間で屈服する」と読んだからだ。

 

敵に「日本は弱い、輸送船をいくらか沈めてしまえばすぐ屈服する」と思わせてはいけない。日本はエネルギー・食料の継戦能力を確保し、それを平時から敵に見せつけておかねばならない。

 

平和のためにこそ、戦争への十分な備えが必要なのだ。(すぎやま たいし)

 

 

 

■ 無人島購入した中国企業の謎

コラムを後で読み返したい時のために、書き起こして掲載しています。

 

気に入った新聞コラム

無人島購入した中国企業の謎 

論説副委員長・佐々木類

 

2023/3/14 09:00 佐々木 類 オピニオン コラム 風を読む

 

日本の安全保障のために、重要な案件だと思います。国土を守る法律の不備をそのままにする、政府もメディアも能天気な対応でどうしようもないですね。

2023/03/15

ジャーナリスト 佐々木類氏
ジャーナリスト 佐々木類氏

 

佐々木 類(ささき るい、1964年 - )は、産経新聞論説副委員長。東京都生まれ。早稲田大学卒業後、産業経済新聞社(産経新聞社)入社。事件記者、政治記者を経て、政治部次長。その後、米紙USAトゥデイの国際部に出向し、米ヴァンダービルト大学公共政策研究所日米センターでの客員研究員。2010年にワシントン支局長。その後、論説委員、九州総局長兼山口支局長を経て、2018年10月より論説副委員長。

伊是名島からみる屋那覇島=沖縄県伊是名村(川瀬弘至撮影) 
伊是名島からみる屋那覇島=沖縄県伊是名村(川瀬弘至撮影) 

 

 

無人島購入した中国企業の謎 論説副委員長・佐々木類

 

熱しやすく冷めやすいのは世の常だが、忘れてならないのは、中国系企業が沖縄県伊是名村の屋那覇島という無人島を買収していた例の一件だ。なぜかと言えば、重機を搬入する船舶が接岸できる船着き場もなく、開発のしようがない無人島ではあるが、取材の過程で背後に中国共産党の影を感じたからである。

不可解なのは、この中国系企業の実態だ。

会社ホームページや登記簿謄本によると、設立したのは昭和43年で、目的は不動産投資やリゾート開発、中国ビジネスコンサルティングなどとなっている。これまでに2度、取材を申し込んだがなしのつぶてだ。まだこの一件が熱を帯びていた2月下旬、東京都港区内の会社を訪れるとまったく別の会社が入っていた。

 

仕方ないので、この会社社長が約15年前に「在日代表」を務めていた中央区のメディア関連会社を訪ねると、そこには中国国営の中央テレビ(CCTV)があった、オフィスにいた男性に聞くと、このメディア関連会社も在日代表のことも知らないという。

 

はっきりしているのは、無人島を購入した会社の社長が「在日代表」を務めるメディア関連会社がCCTVと同じオフィスに拠点を構えていた事実だ。屋那覇島は中国人民解放軍が突破を狙う第1列島線上にあり、安全保障上の懸念が指摘されている。

 

おさらいすると、問題の屋那覇島は、沖縄本島から20キロ西方に位置する。都内で沖縄料理店を経営する知人によると、浅瀬で養殖されている海藻のモズクは絶品で神縄県でも人気という。

 

中国人女性が屋那覇島に上陸して歩き回り、中国系の動画投稿アプサに「島を購入した」などと投稿したことがきっかけで屋那覇島の買収劇が明らかになった。実際に屋那覇島を購入したのは中国人女性が役員を務める先の中国系企業で、島の半分ほどだ。日本政府はそれを知らなかった。

 

ただ、屋那覇島の買収が良いとか悪いとか言う前に、この女性のおかげで土地売買をめぐる問題点に多くの日本人が気づくきっかけとなったことを考えれば、感謝したいくらいである。

 

国土を守る法律の不備は、日本国民の安全に直結する。今ある土地利用規制法に不備があるなら不断の見直しが欠かせない。それは国の責務である。

 

 

 

■ 決戦は夏までに

コラムを後で読み返したい時のために、書き起こして掲載しています。

 

私が気に入った新聞コラム

決戦は夏までに 

名越健郎・拓殖大特任教授

 

2023/3/1 16:08 加納宏幸 国際 欧州・ロシア ウクライナ侵略1年

 

非常に興味深い内容です。いずれにしても早期の停戦になるといいですね。

2023/03/03

拓殖大特任教授 名越健郎氏 
拓殖大特任教授 名越健郎氏 

 

名越 健郎(なごし けんろう、1953年(昭和28年) - )は、日本のジャーナリスト。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学東アジア調査研究センター特任教授。岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業後、時事通信社入社。バンコク支局特派員、モスクワ支局特派員、ワシントン支局長、モスクワ支局長、外信部長、仙台支社長を務めた後、2011年(平成23年)に退社。2012年(平成24年)、拓殖大学海外事情研究所教授。国家基本問題研究所客員研究員も務める。著書「北方領土の謎」で、北方領土問題について択捉島や国後島の地域紙などロシア側の資料を翻訳した。

 

 

私はこうみる 決戦は夏までに 名越健郎・拓殖大特任教授

 

ロシアによるウクライナ侵略は開始から1年が経過した。名越健郎・拓殖大特任教授は今後の展開について、政治的な重要日程をにらみつつ、この夏までが「決戦」になるとの見方を示した。

ウクライナ侵略でロシアのDNAが変わっていないと感じた。ロシアが制圧すると暴行、略奪、拷問といった戦争犯罪が起きる。

 

1991年のソ連崩壊前後のゴルバチョフ元ソ連大統領やエリツィン元ロシア大統領は政策に失敗したが、倫理観や自分の哲学を持っていた。今は、ソ連共産党の戦略に基づき戦術をやる組織だった国家保安委員会(KGB)の元中堅将校が全権を握るKGB政権が侵路戦争に暴走している。

 

そんなプーチン大統領を8割以上の国民が支持するのだから、ロシア人は劣化している。メディアがしっかりしていないから、こういうことになる。ただ、ロシア人が完全に支持しているとは思えない。締め付けが厳しいから自分の意見を言わない。

 

ロシア人は常に包囲されているという地政学的な恐怖心を持っている。プーチン氏は侵略を「特別軍事作戦」としてきたが、去年の秋頃から北大西洋条約機構(NATO)との戦いと言うようになった。「第三次祖国防衛戦争」、つまりナポレオン、ヒトラーに続き、NATOと戦っているという被害妄想だ。

 

侵攻からの1年を振り返ると、短期決戦に失敗したプ‐―チン氏がどうしていいか分からなくなった感じだ。今年になりロシアが主導権を握っているが、米欧の戦車が入ればウクライナが反転攻勢に出るだろう。

 

ロシアでは9月に統一地方選、来年3月に大統領選がある。プーチン氏は8月までに成果を収め、9月以降は「政治の季節」にしたいのだろう。ウクライナのゼレンスキー大統領も「今年中の勝利も可能だ」と言っている。夏までが決戦になるのではないか。

 

口‐シアが東部ドンバス地域(ドネツク、ルガンスク両州)を全部制圧した後に停戦交渉を言い出すかもしれない。ウクライナは応じないだろう。ただし、半分以上の軍事支援を行う米国が(停戦交渉を)決めたらウクライナも応じざるを得ない。同国は一定の領土を失いつつもNATOに加盟するということがあるかもしれない。米国でも来年は大統領選があり、米露の選挙を考えると、秋頃から変わってくるのではないか。

 

今回の侵路による日本への教訓はロシアとは絶対に戦争をしてはいけないということだ。何をしでかすか分からない国であり、関係が一悪化しても対話のためにパイプを維持する危機管理はしておいた方がいい。(聞き手 加納宏幸)

 

 

 

■ 人が死ぬ如く国も亡ぶ

コラムを後で読み返したい時のために、書き起こして掲載しています。

 

私が気に入った新聞コラム

人が死ぬ如く国も亡ぶ 

富岡幸一郎氏

 

2023/1/12 14:00  社会 安倍元首相死去 私は考える

 

江藤淳氏の「人が死ぬ如く国も亡ぶ」は、色々考えさせる言葉です。

2023/02/26

文芸評論家 富岡幸一郎氏 
文芸評論家 富岡幸一郎氏 

 

冨岡 幸一郎(とみおか こういちろう、1957年(昭和32年)11月29日 - )は、日本の文芸評論家。1979年(昭和54年)、大学在学中に書いた評論「意識の暗室 埴谷雄高と三島由紀夫」が第22回群像新人文学賞評論部門の優秀作を受賞する。1991年(平成3年)にドイツに留学し、同じ頃に住まいを都内から鎌倉に移した。関東学院大学文学部比較文化学科教授、関東学院大学図書館長、鎌倉文学館館長。日本を愛するキリスト者の会理事。

 

 

人が死ぬ如く国も亡ぶ 富岡幸一郎氏

 

安倍晋三元首相の銃撃死については、「民主主義への挑戦」「全体主義社会の到来」などと評論されることが多いが、いずれにも大きなずれを感じている。

 

あの事件は政治的な背景のあるテロではない。もちろん世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題でもない。新自由主義がもたらした極端な格差や相対的貧困などへの絶望が末期的に発露した暴力だ。過去には、秋葉原通り魔事件や京都アニメーション放火殺人事件などでも見られたものだ。思想家のキルケゴールが『死に至る病』で挙げた「個」を肥大化させ、社会に責任転嫁させた形の絶望であり、そこに「公」に対する批判や改革志向は存在しない。

 

対照的なのは作家、三島由紀夫が東京・市谷の陸上自衛隊施設で憲法改正、つまり戦後体制からの脱却という「公」に通じる明確な訴えを掲げて自刃した「三島事件」だろう。しかし事件は衝撃こそ与えたものの、三島のメッセージはタブーとされ、等閑視され続けた。その一方で、旧統一教会を巡る問題は、霊感商法や多額の献金などが耳目を集め続け、「救済法」が成立するまでに至った。

 

「個」の絶望が社会に影響を与えるに至ったのは、自民・公明両党などへの攻撃材料になる、要は政局とされたことがあるだろう。さらに世論も「空気」にのまれてしまっている。

 

日本人は宗教への健全な感受性を喪失し、無自覚な無神論者になつている。背景には連合国軍最高司令官総司令部の神道指令による「政教分離」の強制が一ある。「個」を超えた超越的な価値観と結びつかなければ宗教感覚は存在し得ない。そうした態度を立て直すことなく自らなし崩し続けたのが戦後社会だ。魂の腐敗は極まっている。

 

人が死ぬ如く国も亡ぶー。これは評論家の江藤淳『日本よ、亡びるのか』(文芸春秋)の帯文に寄せた言葉だが、安倍氏の悲劇的な死を受けた現状を象徴しているように思えてならない。そんな中、国葬で多くの若者が献花に列をなしたことは、国家やそれを支える中間共同体の再建が必要だという意識のあらわれではないだろうか。そこに希望は感じている。(談)

 

 

 

■ 「一つの中国」の虚構と中台戦争

コラムを後で読み返したい時のために、書き起こして掲載しています。

 

私が気に入った新聞コラム

「一つの中国」の虚構と中台戦争 

同志社大特別客員教授・兼原信克

 

2023/1/12 08:00 コラム 正論 安全保障政策

 

一つの中国は、法律上のフィクション、もともと中国は二つある。

その通りだと思います。

あいまいに二つの中国を残した、米国の責任は大きいですね。

2023/02/25

同志社大特別客員教授 兼原信克氏 
同志社大特別客員教授 兼原信克氏 

 

兼原信克は1959年生まれ。同志社大学特別客員教授。東京大学法学部を卒業後、1981年に外務省に入省。フランス国立行政学院(ENA)で研修の後、ブリュッセル、ニューヨーク、ワシントン、ソウルなどで在外勤務。2012年、外務省国際法局長から内閣官房副長官補(外政担当)に転じる。2014年から新設の国家安全保障局次長も兼務。2019年に退官。著書・共著に『歴史の教訓――「失敗の本質」と国家戦略』『日本の対中大戦略』『核兵器について、本音で話そう』などがある。

 

 

「一つの中国」の虚構と中台戦争 同志社大特別客員教授・兼原信克

 

中国の習近平主席が3期目の続投を決めて以来、中台戦争の暗雲が俄(にわか)かに垂れ込めてきた。習氏の腹の底を読むことは容易ではない。しかし、能力面を見る限り、習氏が開戦を決断するとき、すでに域内随一の巨軀(きょく)となった人民解放軍を一撃で食い止めることはもはや、現在の日米同盟にも台湾にも難しい。それが現実である。

 

一旦有事となれば

 

ウクライナ戦争を見ればわかるように、米国は、核兵器保有国との戦争では非常に慎重になる。全面核戦争を避けねばならないという責任感がそうさせるのである。しかしそれは前線にある日本と台湾に非常に大きな負担を強いることになる。冷戦期のように米国が膨大な核戦力を背景に、ベルリンを含め西ヨーロッパに一歩でも赤軍が踏み込むことは許さないという決意を示せば、戦争は起きない。冷たい平和が実現する。しかし一旦有事となれば、ウクライナ戦争のように通常兵器での局地戦が延々と続くことになる。

 

米国は台湾を、戦略核兵器を用いてでも守るという決意を示していない。米国の台湾防衛に関する立場は今も曖昧なままである。米国の核の傘の下にある日本、韓国、NATO諸国と比べて、台湾防衛コミットメントは脆弱(ぜいじゃく)である。仮に中台戦争が始まれば、米軍主力の空母機動部隊は、中国のA2AD(接近阻止・領域拒否)戦略に押され、爆撃機や中距離対艦ミサイルの射程外からの局地的な戦力投射に徹することになる。

 

米軍の勝ち目は中国軍の台湾への着上陸阻止にある。だとすれば台湾も、そして日本も、中国が台湾征服を諦めるまで、前線で中国軍の猛攻にさらされる。今の米中戦力比を前提とすれば、米国の航空優勢も海上優勢も覚束(おぼつか)ない。

 

米国は、最終的に勝てばよいと考えるであろうが、前線にある日本と台湾は膨大な損害を被ることになる。だから中台戦争は決して始めさせてはならない。台湾海峡の平和と安定こそが今世紀前半の日本外交の焦点である。

 

中国の台湾侵略を正当化せず

 

中国が一つであるという理屈は中国の台湾侵略を正当化しない。冷戦初期、厳しい東西対峙(たいじ)の下で、南北朝鮮、南北ベトナム、東西ドイツが生まれた。中国も毛沢東の中華人民共和国と蔣介石の中華民国という分断国家となった。事実上、中国は二つある。

 

サンフランシスコ平和条約締結時、日本は日華平和条約を締結して台北と国交を開いた。同時に日米同盟が締結され、改定安保条約6条(極東条項)では、旧大日本帝国領の朝鮮半島南部と台湾島および旧米国領のフィリピンは、米軍が日本の基地を使ってその防衛に貢献することとされた。日本は在日米軍基地の使用を認める代わりに、唇歯の関係にある朝鮮半島と台湾島の防衛義務を米国に委ねたのである。その後、日本は小渕恵三内閣の重要影響事態法制定、安倍晋三内閣の限定的集団的自衛権行使是認と、一貫して地域防衛の責任を徐々に引き受けてきた。

 

台湾防衛の問題は1972年の日中、米中国交正常化以来、常に機微な外交問題であった。69年にダマンスキー島を攻撃し、ソ連軍から手痛い反撃を食らった毛沢東は、モンゴルに陣を敷いたソ連陸軍6個師団を前にして震え上がり日中、米中国交正常化を焦った。

 

米国も日本も、中ソ対立の激化を戦略的好機と見て、中国の正統政府を台北政府から北京政府に切り替えた。その際、中国は「台湾は中国領土の一部である」と主張し続けたが、日本も米国も、その主張を受け入れなかった。日本は、日中共同声明で、カイロ宣言、ポツダム宣言によれば台湾は中国に返還されるはずだったという経緯に言及しただけであり、米国は中国の立場をアクノレッジした(聞き置いた)だけだった。

 

あらゆる手段で阻止を

 

なぜなら、中国は事実上、2つに分断されているからである。中国が「一つの中国」であるというのは、法律上のフィクションに過ぎない。それが成り立っているのは、毛沢東も、蔣介石も、中国は一つであり、我こそがその正統政府であるとの立場を譲らなかったからである。日中、米中国交正常化時に、蔣介石が国連安保理議席を北京に譲った後、国連総会に議席を残そうとすればそれも可能であったであろう。しかし、誇り高い蔣介石は国連から退場することを選んだのである。

 

日本も、米国も、台湾海峡の平和と安定が保たれている限り、「一つの中国」というフィクションを尊重することを約束している。しかし、強大な軍事力を過信し始めた中国が台湾を侵略し、台湾人の謳歌(おうか)する自由と民主主義を武力で踏みにじれば、「一つの中国」の前提は崩れ去る。「二つの中国」の正規軍同士がぶつかる事態となる。その戦争は、米国を、そして日本を直ちに巻き込むであろう。その危険は日に日に大きくなってきている。日米両国は、外交、経済、軍事、戦略コミュニケーションのあらゆる手段を使って、台湾戦争を止めねばならない事態になっているのである。(かねはら のぶかつ)

 

 

 

■ 露の侵攻1年、日本人の意識変化

コラムを後で読み返したい時のために、書き起こして掲載しています。

 

私が気に入った新聞コラム

露の侵攻1年、日本人の意識変化 

青山学院・新潟県立大名誉教授 袴田茂樹

 

2023/2/23 08:00袴田 茂樹  コラム 正論 ウクライナ侵攻

 

ロシアのウクライナ侵攻ももう1年、妥協点を見つけて停戦するしかないと思うが。

米国はいつまで武器供与を続ける気なのか?

2023/02/24

 

国際政治学者 袴田茂樹氏 
国際政治学者 袴田茂樹氏 

 

袴田 茂樹(はかまだ しげき、1944年3月17日 - )は、日本の国際政治学者、社会学者、新潟県立大学名誉教授。青山学院大学名誉教授。専門はロシア社会論。公益財団法人日本国際フォーラム評議員。

 

2023/02/21の地図 NHK提供 
2023/02/21の地図 NHK提供 

 

 

遠くの出来事ではない

ロシアによるウクライナ侵攻から1年になる。メディアでは国際関係や軍事の専門家たちが、今回の事件は遠い他所事(よそごと)ではなく、日本にも深く関係のある問題だと認識せよと警告している。先進7カ国(G7)の中で、今年議長国になっている日本が唯一、露に領土を不法占領されている国だから、というだけでなく、アジアでも同様の事態が生じないという保証はないからだ。日本人の「平和ボケ」とよく言われるが、最近私が最も関心を持っている問題は、ウクライナ侵攻後の1年で、日本人の安全保障意識とか国防意識がどれだけ変わったかである。

 

昨年12月に政府が安保3文書を改定し、反撃能力を保有する方針を閣議決定したが、最も大きく変化したのは、日本は防衛力あるいは軍事力を強化すべきだと、日本国民の半数以上が考えるようになったことだろう。昨年11月末の日経新聞の世論調査では「相手のミサイル発射拠点などを叩(たた)く反撃能力を日本が保有することの是非」に対して、65%が賛成した。

 

日本政府は昨年、「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」と言い換えた。情報化時代の今日では、米国が露によるウクライナ攻撃を正確に予測したように、ミサイル等による攻撃開始前でも、その攻撃開始の動きを正確に捕捉できる場合があるからだ。しかし前者の表現は日本の国是の「専守防衛」に反するという誤解も招く。専守防衛という概念が今も成り立つのかという疑問もあるが。

 

「反撃能力」への批判

読売新聞と米ギャラップ社が共同で行った昨年11月の世論調査の結果では「日本の防衛力強化」に対して、日本国民の68%が賛成した(読売12月15日)。ただ、今年1月6日の朝日の世論調査では「敵基地攻撃能力」の賛否を問う調査結果として、賛成56%と報道している。朝日は、前述の理由で政府が公式表現を「反撃能力」と言い換えたにも拘(かか)わらず、一貫して「敵基地攻撃能力」という言い方を変えていない。毎日も昨年5月に「反撃能力」への言い換えを批判している。防衛、反撃のためにも、つまり専守防衛のためにも状況によっては敵基地を叩く必要が生まれるが、朝日の世論調査は、国是である専守防衛に「敵基地攻撃能力」は反するという、国民の批判的反応を期待しているのであろう。

 

興味深いのは、この朝日の世論調査の結果でも(世代別の数字もある)、30歳未満の若者(18~29歳)は65%が「敵基地攻撃能力」に賛成している。最も賛成率が少ないのは、戦後の日教組的な「平和憲法教育」で育った70歳以上だが、それでも51%で過半数だ。

 

横道にそれるが、「クリミア併合」に対する日本の対露制裁参加へのプーチン大統領の批判の言葉から、彼の思考法の特徴を指摘しておきたい。2014年に露が「クリミア併合」の挙に出た後、日本もG7の一員として対露制裁に加わった。日本が対露制裁に加わったことに対してプーチン氏は怒り、「クリミアは何処(どこ)にある(Где Крым)?」と日本を批判した。

 

つまり日本から遠く離れているクリミア問題は、日本に何の関係があるのか、との批判だ。地理的な位置と関係なく、他国の侵略は国際法違反との発想が、あるいは領土を露に不法侵害されているという点で、日本とウクライナは同じ立場にあるという見地がプーチン氏には希薄で、大国の特殊権益圏とか友好国、非友好国といった地政学的発想が、彼の国際感覚の中心になっていることが分かる。

 

戦わない人はどうする

日本人の安全保障意識の変化に戻ろう。17年から20年の調査であるが(World Values Survey HP)「もし戦争が起こったら国のために戦うか」との質問に、79カ国の国民(18歳以上の男女)が答えている。「戦う」と答えたのは、日本は最低で13・2%だ。下から2番目のリトアニアでも32・8%で、日本の2倍以上である。「自国のために戦う意思」を問う別の調査では、日本は11%という数字もある。

 

露によるウクライナ侵攻後の日本での調査では、「日本が侵略されたら戦うか」との質問に「戦う」と答えたのは28・2%である(22年8月調査・MAMOR 22年12月号)。2倍以上に増えているのは、ウクライナ人の驚くべき高い士気(8~9割以上の国民が、領土を失っての和平よりも「戦う」ことを選択)の影響であろう。自衛隊のある最高幹部も、ようやく日本国民の約3割が、「戦う」意思を示したと喜んでいた。国民意識の大きな変化に間違いはない。

 

問題は、この意識の変化後でも、今の日本国民を露のウクライナ侵攻前の79カ国の国際比較の中に置くと、国を守る意識は世界最低ということだ。では戦わない人はどうするのか。ある調査によると、「国外・国内避難」が約6割、「何もしない」が約4割だ。「平和ボケ」は変わらない。(はかまだ しげき)

 

 

 

■ 「脱炭素」は結局「脱人間」なのか

コラムを後で読み返したい時のために、書き起こして掲載しています。

 

私が気に入った新聞コラム

「脱炭素」は結局「脱人間」なのか 

麗澤大学准教授 ジェイソン・モーガン

 

2023/2/17 08:00 コラム 正論

 

重要な問題であり、かつ色々考えらせる内容のコラムでした。

何のための脱炭素なのか? 本当にそれでいいのか?

2023/02/18

 

麗澤大学准教授 ジェイソン・モーガン氏 
麗澤大学准教授 ジェイソン・モーガン氏 

 

ジェイソン・モーガンは1977年、アメリカ合衆国ルイジアナ州生まれ。テネシー大学チャタヌーガ校で歴史学を専攻後、名古屋外国語大学、名古屋大学大学院、中国昆明市の雲南大学に留学。その後、ハワイ大学の大学院で、東アジア学、特に中国史を専門に研究。2014~2015年、フルブライト研究者として早稲田大学法務研究科で研究。2016年、ウィスコンシン大学で博士号を取得。一般社団法人日本戦略研究フォーラム研究員を経て、2020年4月より麗澤大学国際学部准教授。専門は日本史、法社会学史。

 

 

「脱炭素」は結局「脱人間」なのか 麗澤大学准教授 ジェイソン・モーガン

 

米国メディア「ブルームバーグ」は今年1月、バイデン政権下で消費者製品安全委員会がガスコンロの使用禁止を検討していると報じた。理由として、ぜんそくなど呼吸器系の健康障害などの原因となっている大気汚染物質を発することを挙げる。

 

天然ガスを利用したガスコンロは米全世帯の約4割で使用されているという。このニュースを受けて飲食店を経営する大勢の人々が反対の声を上げた。ガスコンロがなければ料理を作れず、飲食店経営も不可能になる。もし室内汚染物質が気になるのであれば、換気扇をマメに使えば解決すると反論している。

 

≪バランスの問題か≫

 

ガスコンロ禁止のエピソードを通し、日本政府をはじめ多くの政府やNGOなどが長年唱えている「脱炭素」問題の輪郭が見える。健康や環境のため、二酸化炭素などを排出する機械を禁止したいという環境保護派に対して、人間の生活、人間の便利性を優先したいという現実派の対立だ。

 

ここで上手に交渉して譲り合えば環境の保護と人間の繁栄とのバランスが取れると楽天的に考えている人もいる。だが、環境保護運動を推進している過激な活動家、組織は、バランスが取られたら気が済むのだろうか。

 

パトリック・ムーア氏は環境保護派のカナダ人である。1971年、環境保護団体「グリーンピース」の設立に携わった。日本では悪名高い捕鯨への反対、米国による水爆実験への反対などに積極的に参加していた。ムーア氏が狙っていたのは、自然と人間のバランスだ。彼が説明するには「グリーンピース」の「グリーン」は「環境」を象徴する緑を意味し、「ピース」は人間の社会の理想、つまり「平和」を意味する。「グリーンピース」というネーミングは、環境と人間とのバランスが強調されているとのことだ。

 

しかし時間が経(た)てば経つほどムーア氏は疑問を持つようになったそうだ。環境保護運動の目的は、人間が環境と共存できることか、環境のために人間が消えることか―という疑問だ。人間より環境を優先する勢力が強くなったことに違和感を覚えて、1985年にムーア氏はグリーンピースを離れた。

 

≪人間より地球を優先する≫

 

ムーア氏が語るように、グリーンピースの人間蔑視、「エコ贔屓(ひいき)」は極めて危険だ。例えばマラリア、デング熱など恐ろしい病気を媒介する蚊の繁殖を抑える化学物質DDTなどを禁止したいとグリーンピースは言う。しかし蚊の繁殖を放置すれば、とりわけ貧しい国に住む人々が苦しんで死亡する。

 

グリーンピースは、塩素の使用も全面的に禁止したいと言うが、塩素を水道水に混ぜることによって、コレラなどの病気を劇的に抑止できる。また石油も禁止したいと唱えるが、石油のない世の中では食品を運んでいるトラック、ディーゼル列車などが動けなくなるとムーア氏は反論する。世界の人々の多くに「飢えろ」と言っているのと同じだ。

 

もっと根本レベルで環境保護派の一部が人間の存在を軽視しているとムーア氏は言う。人間が呼吸すると二酸化炭素を吐き出す。人間が食べる作物は、二酸化炭素を吸収して成長する。人間という動物は、炭素ベースの生き物だとムーア氏は言う。

 

「炭素」を「汚染物質」とするなら、当然、呼吸して二酸化炭素を出す人間、細胞レベルで炭素からできている人間も「汚染物質」と認めなければならない。人間はゴミ、汚染物質に値するのか。

 

≪「脱炭素」の本当の顔知ろう≫

 

飛躍過ぎる論理と思うかもしれないが、実際に「人間を無くそう」と言うに等しい環境保護活動家などはたくさんいる。フランス人海洋学者のジャック=イブ・クストー氏は、1991年のユネスコ(国連教育科学文化機関)のインタビューの中で、「これは考えるのがとても恐ろしいことで、言うべきではない」としながら、世界の人口安定のため「1日35万人」を削減しなければならないと指摘していた。

 

今年の元日、米大手メディアCBSは「シックスティー・ミニッツ」という番組で生物学者のポール・R・エーリック氏にインタビューした。同氏は1968年の著作『人口爆弾』を執筆したことで知られ、環境保護のために人口減少を呼びかけている人である。エーリック氏によると現在の80億人ではなく、15億~20億人程度が理想だという。

 

さらに驚くべき例では、米国発の「自主的な人類絶滅運動」というものまである。環境保護運動家のレス・ナイト氏が創設し、地球を救うために子作りをせず人口を減らしていき、全ての人間がいなくなればいいと言う。

 

「脱炭素」は世界的に響きのいいフレーズで、政治家が何げなく繰り返しているが、日本国内の環境保護派が「脱炭素」と鸚鵡(おうむ)返しするとき、以上の者と同じようなもくろみがあるかどうか徹底的に調べなければならない。

 

 

 

■ 外交とインテリジェンス

コラムを後で読み返したい時のために、書き起こして掲載しています。

 

私が気に入った新聞コラム

外交とインテリジェンス  

作家 佐藤優氏

 

2023/2/12 08:00  国際 欧州・ロシア 佐藤優の世界裏舞台

 

元外交官ならではの考察、非常に興味深い内容でした。

しかし病院からの投稿で、体大丈夫なのでしょうか。

早く回復できることをお祈りします。

2023/01/12

 

作家 佐藤優氏  
作家 佐藤優氏  

 

佐藤 優は、日本の作家、外交官。同志社大学神学部客員教授、静岡文化芸術大学招聘客員教授。学位は神学修士。 在ロシア日本国大使館三等書記官、外務省国際情報局分析第一課主任分析官、外務省大臣官房総務課課長補佐を歴任。

 

安倍晋三回顧録(中央公論新社) 
安倍晋三回顧録(中央公論新社) 

 

 

筆者はこのコラムを病室で書いている。8日午後、主治医から「昨日採血した血液を培養した結果、細菌に感染していることが明らかになった。緊急入院してほしい」という連絡があった。その後の日程をすべてキャンセルし、都内の大学病院に入院した。菌血症で、放置しておくと敗血症になり生命に危険が及ぶ。入院期間は2~3週間の予定だが、延びる可能性も排除されないとのことだった。

 

去年は1月に慢性腎臓病が悪化し血液透析を導入、3月にはがんによる前立腺全摘手術、8月には心臓の冠動脈狭窄(きょうさく)が見つかりステント(金属の輪)を血管に入れた。そして今回は菌血症だ。「病気のデパート」のような状態だ。しかし、それ故に人生の残り時間を意識するので、作家としての仕事に優先順位をつけることができる。

病床で『安倍晋三回顧録』(中央公論新社)を読み直している。この本は安倍晋三元首相が歴史法廷の被告人席に立つ覚悟を持って陳述した内容が多々含まれている。特に印象に残ったのが、停滞していた北方領土交渉を打開するために通常の外交ではなくインテリジェンス・チャンネルを用いたという事実だ。平成30年11月のシンガポールでの日露首脳会談の過程においてだ。安倍氏はこう述べる。

 

《外務省は、従来の4島の帰属問題云々にこだわっていました。ロシア外務省も、非常に日本との交渉に慎重です。本来、外交交渉を担うべきラインが, あまり機能しないのですね。そこで、プ―チンに近い人物を探ったところ、セルゲイ・ナルイシキン対外情報庁(SVR)長官がいたわけです。プーチンは元KGB (引用者注*ソ連国家保安委員会)で、SVRは、KGBの後継機関ですから、プーチンはナルイシキンを信用していました。しかも、ナルイシキンは過去に何度か来日していて、日本のことにも多少知識がある。この分野の専門は、北村滋内閣情報官でしたから、北村さんからナルイシキンを通じて、プーチンに日ソ共同宣言でどうか、という話をしてもらったわけです。プーチンには、しっかり日本側の考えは届いていました》

 

筆者は外交宮時代、表の外交チヤンネルで行き詰まってしまった事態を打開するために、小渕恵三首相や森喜朗首相の指示に従ってSVRチャンネルを何度か用いたことがある。SVRを通じたメッセージは迅速にプーチン大統領に伝わった。筆者が仕事で深く付き合うことがあったインテリジェンス機関はモサド(イスラエル諜報特務庁)とSVRだったが、いずれの機関員も優秀だった。自国にとって都合がよくない情報でも、日本政府が言うことを正確に伝える。また嘘は絶対につかない(もっとも本当のことを全て話すわけではない)。また、筆者が接触したモサドとSVRの職員は大学教授としても十分通用するような学識を持っていた。学知がインテリジェンス業務において大きな意味を持つことこの体験を通じて認識した。

 

安倍氏は、この回顧録で(明示的ではないが)北朝鮮との関係でも北村滋氏によるインテリジェンス外交を展開したことを示唆している。日本の戦後インテリジェンス史において、北村氏は決定的に重要な人物だ。開成中学・高校、東京大学法学部卒で警視庁のキャリア官僚になったが、頭脳が明晰なだけではなく、他人の気持ちになって考え、行動する人間力が高い。

 

英語のみならずフランス語にも堪能だ。また警察官僚時代から定期的に学術誌に論文を寄稿しており、研究者としても十分独り立ちできる。しかし、国益のために必要となれば汚れ仕事でも厭わずに行う。口が堅くユーモアのセンスがある。米国のトランプ大統領もロシアのプーチン大統領も中国の覆う王岐山国家副主席も北村氏と会談している。

 

日本の官僚として主要国の首脳クラスが北村氏に対して破格の扱いをしていたが、それはインテリジェンス・コミュニティーで「キタムラシゲル」という名が轟いていたからである。安倍首相は北村氏という有能な官僚を活用することでインテリジェンスを国益のために最大限に活用することができた。この経験から学ぶことが多々あると思う。

 

 

 

■ 「100年の人」安倍晋三元首相

コラムを後で読み返したい時のために、書き起こして掲載しています。

 

私が気に入った新聞コラム

「100年の人」安倍晋三元首相  

麗澤大学准教授 ジェイソン・モーガン氏

 

2022/12/29 08:00 ジェイソン モーガン コラム 正論

 

外国人のジェイソン・モーガンのこの提言は、良いと思います。

政治家も世界からの評価が大事ですね。

2023/02/07

 

麗澤大学准教授ジェイソン・モーガン氏
麗澤大学准教授ジェイソン・モーガン氏

 

ジェイソン・モーガンは1977年、アメリカ合衆国ルイジアナ州生まれ。テネシー大学チャタヌーガ校で歴史学を専攻後、名古屋外国語大学、名古屋大学大学院、中国昆明市の雲南大学に留学。その後、ハワイ大学の大学院で、東アジア学、特に中国史を専門に研究。2014~2015年、フルブライト研究者として早稲田大学法務研究科で研究。2016年、ウィスコンシン大学で博士号を取得。一般社団法人日本戦略研究フォーラム研究員を経て、2020年4月より麗澤大学国際学部准教授。専門は日本史、法社会学史。

 

 

米「タイム」誌は、2022年の「パーソン・オブ・ザ・イヤー(今年の人)」に、ウクライナのゼレンスキー大統領と「ウクライナの精神」を選んだ。

毎年、同誌がその年の最も重要、顕著な人物やイベント、運動などを選び、表紙に載せる。ゼレンスキー氏は今年を象徴するうえで当然だが、もし今年1年ではなく、「パーソン・オブ・ザ・センチュリー(100年の人)」を選ぶとしたら、私は迷わず安倍晋三元首相を選択するだろう。

 

戦争に反応と備えるの違い

 

安倍氏が今年7月に奈良市内で凶弾に倒れたという悲報は、残念ながら日本国内の最も大きなニュースとなった。世界がその死を悼んだ。が、安倍氏を理解するのに、その1日の出来事、または1年だけで考えては無理だと思う。100年、1世紀の規模で考慮しないと、安倍氏の意義が見えない。彼は21世紀の最も重要な人で、彼を「100年の人」にノミネートしたいと考えている。

それは、起きた戦争への対応ではなく、まだ勃発していない、未来の戦争に備える意義が大きな理由だ。

ゼレンスキー大統領は、ロシアによる侵略に対し、自国を守ろうとした。目の前に展開する戦争に立ち向かい、戦いをリードすることはヒーローの行動だ。ヒーローは歴史の舞台で輝く存在だ。しかし、いくら勇気のある男だと高く評価しても、彼が立っている歴史の舞台は、すでにそこにあったわけだ。

しかし戦争がくることさえ信じてくれない平和ボケの国民の目を覚まして、「ファシスト」「軍国主義者」「歴史修正主義者」などのレッテルを貼られても覚悟をもって、国を強くし守るという大義を果たそうとした安倍氏は、地政学的なビジョナリー(先見性ある人)であったし、戦略の才を評価せざるを得ない。

複雑な世界の動きを解読して未来の瀬戸際に備えて万全な準備をすることは、ステーツマン、偉大なる為政者そのものだ。

 

「平和憲法」の危険除く

 

戦後の呪縛を解き、戦後体制を終わらせようとした安倍氏は歴史の舞台で輝いたのはもちろん、歴史の舞台をも変革したといえる。その意味で彼は100年に一人しか、この世に現れない男だったと思う。

安倍氏が歴史の舞台の大きな「つくり物」を変えようとしたことの一つは、「平和憲法」とも呼ばれる日本国憲法に対してだ。「平和憲法」は現実に、世界で最も危険な文章である。

なぜなら、日々に強みを増している中国、ミサイル発射や核兵器開発を加速する北朝鮮、反日病に慢性的に侵され日本の領土を不法に占領している韓国、現在進行形で他国を侵略し、日本の領土を不法に占領しているロシア―に直面している日本が「平和憲法」の支配下にあって丸腰になっているからだ。

それは雄牛の前に赤い旗を翻しているのと同じだ。日本の「平和憲法」が侵略や大戦争を招きかねないし、日本国民をはじめ東アジア、全世界の人々を危うさに晒(さら)しているだけだ。「火遊び」そのものだ。

安倍氏はこの危険をよく理解していたと思う。1945年、第二次大戦に敗れた日本がGHQ(連合国軍総司令部)の占領下でつくられた、お仕着せの憲法に、2022年に生きている日本国民の掛け替えのない命を託することは日本国のプライドにもかかわる問題だ。安倍氏はそれもよくわかっていたと思う。

 

安倍氏のビジョン実現せよ

 

だから安倍氏は防衛費を国内総生産(GDP)の2%まで引き上げるよう呼びかけた。

「戦略的な曖昧さ」をやめて「台湾有事は日本有事だ」とはっきり言った。日米豪印のクアッドの連携など、自由で開かれたインド太平洋の戦略を主唱し、全体主義に奔走した中国を囲んで抑えようとした

命をかけて国を守る方々を「軍隊」と呼べるよう、戦後の呪縛である憲法を改正しようとした。そしてアメリカをほめ立てながら、米軍の腕力に依存するという戦後の負の遺産を少しずつ解消しようとした。彼が挑戦していた仕事は、たったの1年間で評価できるはずがなかった。

沖縄が次のウクライナのヘルソン、東京が明日のキーウにならないためにも、全力を尽くし戦争を防ぐために必死に戦い、殉職した安倍氏のビジョンは、この先の日本を見通したもので、やはり安倍晋三氏は「100年の人」だったと思う。

日本が完全に自立して、戦後の葛藤を切り離し、誇りを持って、胸を張れるか。日本領土を外国に占領されないという安倍氏が見ていたビジョンは、まだ完成していない。

それは、2023年という1年間にこそ実現するか、次の「100年の人」を待つか、決める時期がきた。安倍氏は他界から、「待たないで急げよ」と、きっと懸命に呼びかけていると思う。

 

安倍晋三元首相が表紙となった2022年7月15日発売の米誌タイム(同誌提供・時事) 
安倍晋三元首相が表紙となった2022年7月15日発売の米誌タイム(同誌提供・時事) 

 

 

 

■ よみがえらせたい和の心

 

最近、新聞コラムで学んだこと

よみがえらせたい和の心 裏千家前家元・千玄室

2023/02/04

 

日本にしかない、和の心を広げていく。非常に大事なことですね。

 

裏千家前家元 千玄室氏 
裏千家前家元 千玄室氏 

 

千 玄室(せん げんしつ、1923年(大正12年)4月19日 - )は、茶道裏千家前家元15代汎叟宗室。斎号は鵬雲斎。若宗匠時代は宗興。現在は大宗匠・千玄室と称する。「玄室」の名は、裏千家4代目の仙叟宗室が宗室襲名前に玄室と名乗っており、これに因んで12代直叟宗室が隠居した際に玄室を名乗ったことに由来する[要出典]。本名は千 政興。京都大学大学院特任教授・大阪大学大学院客員教授として、伝統芸術研究領域における指導に当たるほか、外務省参与(2019年3月31日まで)、ユネスコ親善大使、日本・国連親善大使、日本国際連合協会会長、日本オリンピック委員会名誉委員、日本会議代表委員、日本馬術連盟会長、京都サンガF.C.取締役などを務めている。

 

 

よみがえらせたい和の心 裏千家前家元・千玄室

 

癸卯(みずのとう)と年が改まって1カ月がたとうとしているが、世の中は相変わらずの様相で人々の生活も慌ただしい感が否めない。

 

「茶の湯とはただ湯をわかし茶を点(た)ててのむばかりなることと知るべし」と千利休が申したと言われるが全くその通りで、日本人の日常茶飯事と一体化しているものであるから、慌ただしい中でも一服召し上がっていただきたいものだ。

 

茶は室町時代の中頃より一般的な飲み物となった。武家には足利将軍の『君台観左右帳記(くんだいかんそうちょうき)』にあるような儀式的格式を備えた茶の湯があり、庶民でも寺院の広間を屛風(びょうぶ)で囲むだけで小座敷風の雰囲気を作り出し、茶を点て楽しんだ記録がある。殿中で行われるような儀式的格式の茶の湯は、台子処(だいすどころ)を構えて床飾(とこかざ)り棚飾(たなかざ)りと格式ばったものであった。中国から輸入された高価な茶器、即(すなわ)ち茶碗(ちゃわん)や抹茶を入れる茶入(ちゃいれ)、象牙の茶杓(ちゃしゃく)を唐物(からもの)と呼んで用い、中国の名僧の墨蹟画(ぼくせきが)を掛物(かけもの)にし、胡銅(こどう)や青磁の花入(はないれ)や香炉などを取り入れている。

 

ただ、利休は唐物だけではなく、朝鮮の高麗物(こうらいもの)も否定せず、それらが融合された和の様式を創り出した。即ち国焼(くにやき)と呼ばれる美濃や備前などを奨励し、その中で赤茶碗、そして侘(わ)びを表現する黒茶碗を生み出した。和と漢の美術工芸の総合性を創り上げたのである。

 

一碗を以(もっ)て和漢の融和を図り、茶道という道を創ることで、戦国の世にあって織田信長や豊臣秀吉らの権力者に、権力権勢を沈静化する文の力を説いたのが利休だと考えることもできる。信長が武将たちに茶会開催を許したり、茶道具などを下賜したりすることで政治的に統制した「御茶湯御政道(おんちゃのゆごせいどう)」は、文武両道こそが国を安定させ、ひいては他の国との絆も結べることを、日本の権力者に教えたと言っても過言ではあるまい。

 

茶道は思想的には儒教、道教そしてそれ以前にもたらされた仏教の影響を受けている。これらはいずれも元は外国の思想哲学だが、以前にも書いた通り時代を経て国風化したものであり、外国から隔絶された日本という島国は、その特性をいかして独特の「情」の世を生み出した。その独特の文化芸術をいかし、世界に和の心を広げていくべきではなかろうか。

 

私たちは、単にこの体が日本に生まれたから日本人と自覚するのではない。「からだ」という言葉の語源は「殻(から)」に接尾語の「だ」が付いた語といわれる。平安時代の和文には見られず、単に「から」が用いられ、室町以降に一般的に「からだ」が用いられるようになった。

 

五節句の一つに「上巳の節句」がある。今では雛(ひな)祭りとして3月3日に祝う女子のお祝いと思われているが、本来は災厄を払う節句である。紙で作った人形に邪気を払う願いを込め川に流すのである。今も「流し雛」の風習が残っている地方もあるが、単に紙で作った「から」に願いを吹き込むことにより「からだ」になるとの考えであろう。五節句などに込められた昔からの思いを蘇(よみがえ)らせる必要があると思うこの頃である。 (せん げんしつ)

 

 

 

■ ユダヤな難民保護した日本

コラムを後で読み返したい時のために、書き起こして掲載しています。

 

気に入った新聞コラム

大戦中、東南アジアで

ユダヤな難民保護した日本 

英傍受公電で裏付け (岡部伸氏)

 

2023/1/29 17:31 岡部 伸 ライフ 教育 国際

 

歴史の真実はこうしてあとから出てくるのですね。

でもマスコミはほとんど報道しないけど。そちらの方が問題ですね。

2023/01/30

 

1942年3月29日 外務省からバンコクの日本大使に送られた、ユダヤ人に対する寛容な保護の継続を指示する最高機密の公電の英訳。英国が傍受、解読した(英国立公文書館所蔵、岡部伸撮影 
1942年3月29日 外務省からバンコクの日本大使に送られた、ユダヤ人に対する寛容な保護の継続を指示する最高機密の公電の英訳。英国が傍受、解読した(英国立公文書館所蔵、岡部伸撮影 

 

 

メロン・メッツィーニは、ヘブライ大学名誉教授。江戸末期から明治初期にかけての日仏関係に関する研究で博士号(ハーバード大学)取得。著書「ゴルダ―Aの政治伝記」(2010)はイスラエル首相賞を受賞。日本近代史及びイスラエル外交に関する著作・論文多数。また、1962年から1978年までイスラエル政府広報局長として歴代イスラエル首相(レヴィ・エシュコル(1966~1969)、ゴルダ・メイア(1973~1974)及びイツハク・ラビン(1974~1975))のスポークスマンを務めた。2016年に日本政府から旭日中綬賞を受賞。

 

 

大戦中、東南アジアで、ユダヤ難民保護した日本

英傍受公電で裏付け

 

日本は第二次大戦中、枢軸同盟を結んだナチス・ドイツから再三、ユダヤ人迫害の要求を受けたが、英国立公文書館が所蔵する日本外務省から東南アジアの大使に宛てた公電で、占領地に逃れてきたユダヤ人の保護を指示していたことが確認された。専門家は、世界で反ユダヤ主義が広がる中で日本は難民を保護し、計約4万人のユダヤ人が生き延びたと指摘している。

 

ドイツのヒトラーは政権を掌握した1933年にユダヤ人弾圧を開始。満州や中国に迫害を逃れる難民が押し寄せ、近衛文麿内閣の「五相会議」は38年12月、人種平等の原則によりユダヤ人を排斥せず、諸外国人と同等に公正に扱う「猶太(ユダヤ)人対策要綱」を作成。世界で唯一、ユダヤ人保護を国策として宣言した。

 

しかし、同要綱は41年12月、日本の対米英開戦で無効となり、42年3月、代わって「時局ニ伴フ猶太人対策」ができた。特殊な事情がない限り、日本の占領地へのユダヤ人の「渡来」を禁止する内容だった。

 

確認されたのは同月29日にタイの首都バンコクの日本大使、31日に北部仏印(現ベトナム)のハノイの日本大使にそれぞれ宛てた公電。外務省が「対策」を占領地の在外公館に伝えたのを傍受したもので、英暗号解読拠点「ブレッチリー・パーク」が解読。最高機密文書として英訳され、英国立公文書館が「日本のユダヤ人政策」として保管していた。

 

ハノイ宛ての公電は「ドイツが海外在住ユダヤ人からドイツ国籍を剥奪したが、日本が特に(ドイツとの)関係を考慮する必要はない」とし、慎重に対応すべきとの認識を表明。「ユダヤ人を追放することは国是たる八紘一宇の精神に反するばかりか米英の逆宣伝に使われる恐れもある」とし、独伊の排ユダヤ政策と一線を画す考えを示した。

 

その上で「ユダヤ人は外国籍保有者と同様に扱い、ドイツ国籍を持つユダヤ人は(ロシア革命で逃れた)白系ロシア人と同様に無国籍者として取り扱う」とし、ユダヤ人に寛容な保護の継続を指示していた。

 

「猶太人対策要綱」が対米英戦勃発で廃止されたことで「外資導入と米英との関係維持を狙ったものであることが明らかになった」(丸山直起著『太平洋戦争と上海のユダヤ難民』)として日本がユダヤ人に好意的な政策を転換させたとの解釈が広がり、「日本はナチスに追随し、ユダヤ人迫害を開始した」(イスラエル・ハイファ大学のロテム・コーネル教授)など極端な主張が広がっている。(岡部伸)

 

ドイツと全く別の政策 裏付け

 

『日章旗のもとでユダヤ人はいかに生き延びたか』(勉誠出版)の著者で日本のユダヤ政策に詳しいイスラエルのヘブライ大学名誉教授、メロン・メッツィーニ氏は、英国立公文書館が所蔵する日本外務省が東南アジアの大使に宛てた公電について次のように語った。

 

1940年、日本は、ナチス・ドイツと枢軸国同盟を結んだが、ユダヤ人に対しては、ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)で600万人近いユダヤ人を強制収容所で死亡させたドイツと全く別の政策を取った。

 

日本国内、満州(中国東北部)、上海や日本が統治した東南アジアやオセアニアなどの地域で合計約4万人のユダヤ人が迫害されず、生き延びた事実は、日本国内、海外でほとんど知られていない。

 

この公文書は、日本が38年に始めたユダヤ人の命を救う上で極めて有益だった保護政策が米英開戦後も継続されたことを裏付ける貴重な史料だ。2つのユダヤ人政策に大きな差はない。占領地のユダヤ人の多くが英米蘭の敵国人であり、財産や資産を失ったものの、待遇はおおむね国際基準に沿い、日本政府、日本人の態度は公平で人道的だった。この事実は重要で、過小評価されるべきではない。

 

 

関連記事(岡部伸)

 

大戦中 日本のユダヤ人保護 人道優先 陸軍主導で4万人

欧米での影響力も配慮、難民を好意的に待遇

 

日本が統治した東南アジアなどで、1941年12月の対米英開戦後も独伊の排ユダヤ政策と一線を画し、ユダヤ人を諸外国人と同等に扱う寛容な保護政策が継続されていた。ユダヤ人の保護を指示する日本外務省からの公電が英国立公文書館で確認された。背景には、人種平等精神に基づく人権政策や欧米の政治経済に対するユダヤ人の影響力への配慮があった。

 

日本、東南アジア占領地でユダヤ人保護 英傍受公電で裏付け

 

日本人として最初にユダヤ人を救ったのは満州国でハルビン特務機関長を務めていた樋口季一郎陸軍中将だ。37年12月、ハルビンで開催を許可した極東ユダヤ人大会でユダヤ人の平等を保障し、パレスチナでのユダヤ人国家建設も認めた。さらに38年3月、満州との国境にあるソ連・オトポールで立ち往生していたユダヤ人難民を救出する英断を下した。

 

樋口中将のユダヤ人救済は38年12月、近衛文麿内閣の五相会議による「猶太人対策要綱」につながった。同年1月に発令された関東軍による「現下二於ケル対猶太民族施策要領」を下敷きに、国策としてユダヤ人保護を決め宣言した。

 

陸軍参謀本部第二(情報)部長に転出した樋口中将が外務省と調整し、安江仙弘大佐、板垣征四郎陸相ら陸軍主導で作成された。

 

米英加豪はじめ、パシスチナにまで反ユダヤ主義が広がり、同年にはフランスのエビアンで欧米32カ国が難民問題を協議したが結論は出ず、世界がユダヤ人に扉を閉ざす中で日本だけが難民を受け入れ、保護した。39年に第二次大戦が勃発し、ベルリン、プラハ、ウィーンの日本領事館は日本への通過ビザを発給した。リトアニアのカウナスで杉原千畝領事代理がユダヤ難民に「命のビザ」を発給するのは40年7月だ。

 

イスラエル・ヘブライ大学のメロン・メッツィーニ名誉教授は、「この決定で何千人ものユダヤ人を救った」と評す。

 

対米英戦争勃発で同要綱が廃止されたが、42年3月、「時局二伴フ猶太人対策」が作成され、保護政策は続いた。この結果(メッツィーニ氏は、満州、上海を拠点とした東アジアで「ヒグチ・ルート」などを通じて約2万人が助け出され、日本が統治した現在のベトナムやインがネシアなど東南アジア、オセアニアに居住していた2万人も生き延び、合計4万人のユダヤ人が日本に救われたと指摘する。

 

国内でも財産を奪われたり、危害が加えられたりはしなかった。山本尚志著『日本を愛したユダヤ人ピアニスト・レオ”シロタ』によると、日本人はユダヤ難民を好意的に扱い、ユダヤ系音楽家にとって日本は希望の地の一つだった。

 

「イスラエル・ハイフア大学のロテム・コーネル教授が「ナチスに追随し、日本軍はインドネシアなどでユダヤ人迫害を始めた」と主張していることに、メッツィーニ氏は「これはユダヤ人の隔離を望む(同国を統治してきた)オランダ人による反ユダヤ主義の行動。重要なのは日本人によって命を奪われたユダヤ人はいなかったことだ」と反論する。

 

ナチス・ドイツの人種政策を拒絶し、ユダヤ人を守ったのは、傍受されていた公電にユダヤ人追放が「八紘一宇の精神に反する」と記されていた通り、第一次大戦後のパリ講和会議で、世界で最初に人種差別撤廃を提案した「人権先進国」だったことと無縁ではない。

 

メッツィーニ氏は、米国のユダヤ系銀行家、ジェイコブ・シフ氏らが日露戦争で戦時国債を購入したことを日本が忘れず、ユダヤ人の欧米での政治経済への影響力に配慮したためとも分析している。 (岡部伸)

 

 

 

■ 洗脳手伝ううち自分自身も洗脳

コラムを後で読み返したい時のために、書き起こして掲載しています。

 

私が気に入った新聞コラム

洗脳手伝ううち自分自身も洗脳 

東京大学名誉教授・平川祐弘氏

 

2023/1/27 08:00 コラム 正論

 

日本が西洋化することで失った明治末年以前の文明の姿はどんなだったのだろうか?

興味がありますね。

2023/01/27

  

東京大学名誉教授 平川祐弘氏 
東京大学名誉教授 平川祐弘氏 

 

平川 祐弘(旧字体: 平川 祐弘、ひらかわ すけひろ、1931年〈昭和6年〉7月11日 - )は、日本の比較文学研究者、評論家。東京大学名誉教授、国家基本問題研究所理事。

 

 

洗脳手伝ううち自分自身も洗脳 東京大学名誉教授・平川祐弘

 

渡辺京二氏が熊本で歳末に亡くなった。『逝きし世の面影』(平成十年、葦書房)という情緒豊かな標題の書物で、日本が西洋化することで失った明治末年以前の文明の姿を追い求めた。この代表作が十七年に平凡社ライブラリーとして再刊され、解説を書いた。

 

「西洋人という鏡に映った旧日本の姿に新鮮な驚きを感じた渡辺氏の、イデオロギーや先入主にとらわれない、率直な反応が、美しい日本語に表現されていて、本書を価値あるものとした。共感は批評におとらず理解の良き方法である」

 

 

明治は「美化された幻影」か

 

九州で予備校講師を務めた著者は、学問の本道を進んだ人ではない。だが歩き方には力があった。滅んだ古い日本の姿をしのぶには、異邦人の証言に頼らねばならないとし、私たちは自覚しないが、西洋人がひとしく注目した明治初年の生活の特徴を、「陽気な人びと」「簡素とゆたかさ」「親和と礼節」等に分類、詳述した。

 

「外国人が見た日本」という視角について渡辺氏は指摘する。「日本の知識人には、この種の欧米人の見聞記を美化された幻影として退けたいという、強い衝動に動かされてきた歴史があって、こういう日本人自身の中から生ずる否認の是非を吟味することなしには、私たちは一歩も先に進めない」

 

なぜインテリは逝きし明治の面影を「美化された幻影」として退けるのか。それは敗戦後、占領軍の管理下で日本批判が繰り返され、知識層は日本が好(い)い国のはずはない、と自虐的に思いこんだからである。一例が中野好夫氏で、戦争中の愛国者は、一転、戦後民主主義の旗振りとなった。前非を悔いた東大英文科の有名教授は、以前は愛した小泉八雲ことラフカディオ・ハーンを戦後は全面的に否定し、ハーンがたたえた神道の国日本をぼろくそに難じた。

 

米英側では日本に帰化したハーンを敵国を美化した日本政府御用の裏切り者と非難した。『ケンブリッジ英文学史』はハーンは「全く無価値」と切って捨てた。そんな様だから、戦後の東大英文科出身者でハーンをまともに扱った人はいない。

 

 

トウダイモトクラシ

 

外国文学専攻の秀才は、本国の作家評価に敏感に反応する。戦前に英文科主任だった市河三喜氏が東大に集めたハーン関係資料は、篤志家の関田かをる氏が私費で出版助成するまで、誰も利用しなかった。トウダイモトクラシとはこのことだ。

 

劇作家でシェークスピアの翻訳者の木下順二氏も、中野氏に似た。木下氏の父はハーンから直接教わったが、木下氏本人は熊本中学五年生で百枚の小泉八雲論を校友会雑誌に寄稿した。中学で木下氏に英語を教えた丸山学氏は後に熊本商大教授でハーン研究の開拓者となるが、熊本の五高生だった木下氏は丸山氏の紹介で「八雲先生と五高」という記事を『九州新聞』に寄稿した(昭和十年四月『五高同窓会会報』に転載)。

 

この秀才は同十一年、東大英文科に進学、中野氏に師事し、昭和十年代を通じ、中野氏とハーンや演劇を論じ合い中野氏の勧めで『夕鶴』を書いた。民話に想を得るあたりハーンの刺激にちがいない。

 

ハーンの民俗学に着目した丸山氏の『小泉八雲新考』が平成八年に講談社学術文庫として再刊され、監修の木下氏にお会いしたが、かつて傾倒したハーンにすこぶる冷淡で「日本人が小泉八雲を好きなのは自己愛のあらわれ」と敗戦直後の中野氏と同じだった。

 

中野氏は敗戦直後に発した悪口を改め、筑摩書房の明治文学全集に小泉八雲の解題を書いたのに、と私は思った。来日外国人の日本観を「美化された幻影として退ける」と渡辺氏が言ったのは、木下氏も念頭にあってのことだろう。

 

 

占領下の検閲で歪んだ日本観

 

だが占領下の報道制限と検閲で一番被害を蒙(こうむ)ったのは、ハーンよりもハーンが良しとした神道だ。日本の宗教文化についての発言は厳しくコントロールされ、米軍が「神社神道」を改名した「国家神道」なるものに対し知識人は悪口を言うべきもの、という社会通念が固着した。戦後の閉ざされた言語空間で培養された蛸壺(たこつぼ)史観の持ち主の一人は、昨年も『文藝春秋』で神道について歪(ゆが)んだ見方を述べた。占領軍の検閲・宣伝工作の後遺症は恐ろしい。

 

それだけに令和三年に刊行された山本武利著『検閲官 発見されたGHQ名簿』(新潮新書)には愕然(がくぜん)とした。なんと占領下、中野氏の紹介で木下氏が検閲官として連合国軍総司令部に勤務したことが詳述されていたからである。

 

山本氏の調査は仮借ない。読んで陰鬱(いんうつ)になった。日本の多くの英才は「検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない」という憲法に違反する仕事をしながら、検閲する自分を正当化した。

 

彼らは日本独立後も、戦後の閉ざされた言語空間の枠を維持し続けた。同胞の洗脳を手伝ううちに、自分自身が洗脳されてしまった人たちだったのである。(ひらかわ すけひろ)

 

 

 

■ 到来した「日米3.0」の時代

コラムを後で読み返したい時のために、書き起こして掲載しています。

 

私が気に入った新聞コラム

到来した「日米3・0」の時代  

国際政治学者 E・ルトワック氏

 

2023/1/19 16:00 黒瀬 悦成 国際 米州 世界を解く

 

やっと本来の同盟関係になったということですね。

2023/01/20

 

国際政治学者 E・ルトワック氏 
国際政治学者 E・ルトワック氏 

 

エドワード・ルトワック(Edward Nicolae Luttwak、1942年11月4日)は、アメリカ合衆国の国際政治学者。専門は、大戦略、軍事史、国際関係論。ルーマニアのユダヤ人の家庭に生まれ、イタリア、イギリスで育つ。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで学び、英国軍、フランス軍、イスラエル軍に所属した後、1975年にジョンズ・ホプキンス大学で国際関係論の博士号取得。現在、戦略国際問題研究所シニアアドバイザー。

 

 

到来した「日米3.0」の時代

 

岸田文雄首相とバイデン米大統領による今月13日の首脳会談は日米関係が新たなフェーズ(段階)に入った事実を鮮明にした。

 

戦後の日米関係を各段階に分けるとすると、現在は第3段階にある。

 

第1段階は、安倍晋三元首相が登場する前の時代だ。当時は、両国の国益にかかわる政策を米国が一方的に決めていた。米国が決定内容を日本に通知することもあったが、通知しないことも珍しくなかった。

 

米政府高官らは定期的に日本を訪れて米国の要求を提示し、日本政府は同意できる範囲で応じてきた。いずれにせよ、日本側が独自に日米絡みの政策を立案することはなく、その体制も存在しなかった。

 

また、自衛隊は米軍から過去何十年間にもわたって役割の拡大を求められてきたが、「政治家が防衛予算を制限している」などと主張して、米軍の要求をかわすことも多かった。

 

安倍氏が首相になって事態は一変し、日米関係は第2段階に移った。

 

安倍氏は、日本は独自の政策を持った独立国であると表明し、実際に独自政策の策定に着手した。防衛間題にも真剣に向き合った。外交ではインドとの関係を強化し、日米豪印によるクアッドの枠組みに引き込んだ。これにより、インドとの連携強化を望んでいた米国は、これまでになく密接な関係をインドと構築することができた。

 

外交的に中立的立場を保ってきたインドを日米豪の陣営に入れたのは、安倍氏の主導による革命的成果といえるだろう。

 

安倍氏はロシアとの北方領土交渉に失敗するなど、日本としての公式目標を常に達成したわけではない。

だが、日本が独自の政策を持つ独立国家であるとの立場を確立するという真の目標は達成された。同時に、安倍氏の対露政策はロシアによる対中軍事協力を制限する効果も上げた。

 

日本を対米追従から米国と並び立つ存在に引き上げたのも安倍氏だ。

 

ただし、こうした関係は安倍氏とその周辺による個人ベースの取り組みに依存していた。そして現在、日米の関係は第3段階に入った。安倍氏の時代に道筋がつけられた日米の安全保障関係が国家間で制度化されたのだ。私はこれを「日米3.0」と呼ぶ

 

米国が日本に防衛政策で要求を重ね、日本が防衛費や憲法の制約を盾に抵抗するといった緊張状態は一気に解消された。米国から言われてやるのではなく、日本の国益および日米の集団的安全保障に照らして日本が自発的に政策決定を下すようになったのだ。

 

実際、日本は将来的に台湾有事があった際は関与していくと自ら表明した。台湾が中国の手に落ちれば日本も危うくなる。こうした日本の態度表明は、日本に加え日米同盟、台湾の安全に大きく貢献している。

 

日米は、互いの国内政治に左右されない同盟関係の構築を果たした。確かに岸田氏に比べれば安倍氏の方が外交への関心が深かっただろうが、「日米3.0」の時代では、その程度の違いは問題ではない。

 

かつてのロン・ヤス(レ一ガン元大統領と中曽根康弘元首相)関係のように日米首脳の個人的関係が以前のように重大視されることもなくなるはずだ。

 

一方、米国ではバイデン氏の民主党が下院の多数派を失い、大幅な財政支出を伴う政策の実行は難しくなった。移民流人による混乱拡大や、自身の機密文書持ち出し問題も痛手だ。

 

米政権の弱体化は敵対勢力に付け入る余地を与えるという意味で、日本の安全保障にも影響する。 

 

だが、幸いなことにロシアも中国もそれぞれ問題を抱えている。

 

ロシアはウクライナ侵略で手いっぱいで、国力も衰えている。極東地域における脅威の度合いは、第二次大戦が終結した1945年以降で最低となった。欧州でも北大西洋条約機構(NATO〉加盟国と新たに戦争を起こし、米国と直接対決するとは考えにくい。

 

中国では習近平国家主席が新型コロナウイルス対策の破綻と、国内ハイテク企業締め付けの失敗で逆風に立たされている。極言すれば習氏が3期目5年の任期を全うできるかも定かではない。外交でも以前のように欧州諸国から秋波を送られることはなくなった。

 

岸田氏が今回、訪米の前に欧州を歴訪したことは、日本が欧州における中国の対抗軸になり得ることを示した点で意義深い。中国接近が目立ったイタリアが日英と次期戦闘機を共同開発するのも歓迎すべき動きだ。(聞き手 黒瀬悦成)

 

 

 

 

■ 民主進歩党新党首・頼 清徳氏

 

 

新聞コラムで勉強しています。

台湾、八田與一氏と頼清徳氏

 

2023/1/17 05:00コラム 産経抄

 

これから大変な時期になりますが、何とか頑張って独立して欲しですね。

歴史的にみるともともと独立国ですので、あとは世界が承認するだけです。

アメリカがネックですね。

2023/01/18

 

烏山頭ダムを建設した土木技師、八田與一氏 
烏山頭ダムを建設した土木技師、八田與一氏 

 

 

日本統治下の台湾南部で、東洋最大といわれた烏山頭ダムを建設した土木技師、八田與一は現在も台湾農業の恩人として慕われています。

 

民主進歩党新党首・頼 清徳氏 
民主進歩党新党首・頼 清徳氏 

 

頼 清徳(らい せいとく、William Lai、1959年10月6日 - )は、中華民国の政治家(民主進歩党)、内科医。現同国副総統、民主進歩党主席(第18代)。民主進歩党内では最大派閥の「新潮流」の中核的人物である。立法委員や行政院長(首相に相当)、台南市長(2期)などを歴任した。

 

 

日本統治下の台湾南部で、東洋最大といわれた烏山頭ダムを建設した土木技師、八田與一は現在も台湾農業の恩人として慕われている。台湾映画「KANO」で、八田役を演じた俳優の大沢たかおさんが9年前、映画のPRのためにダムを訪れた。

 

▼そこへ駆けつけたのが、台南市長だった頼清徳氏である。2人は敷地内に設置された八田の座像の前で、同じポーズをとって写真に納まった。実は2人がそっくりだと、インターネット上で評判になっていた。

 

▼大沢さんが幕末の医師役で主演したテレビドラマ「JIN―仁―」は台湾でも放映されて人気を呼んでいた。頼氏は、台湾大学医学部を卒業し、米ハーバード大学で修士号を取得した正真正銘の内科医である。36歳で政界に転じたのは、当時の国民党政権の腐敗ぶりに強い怒りを覚えたからだという。

 

東日本大震災が発生するとすぐに市民から義援金を募り、1カ月後に友好都市である仙台市に届けた。やはり交流のある栃木県日光市が震災の風評被害により外国人観光客の激減に苦しんでいると聞いてからの行動も素早かった。ラジオで市民に呼びかけ、300人を引き連れて温泉などを回った。昨年7月には、安倍晋三元首相の葬儀に「親しい友人」の立場で参列している。

 

蔡英文政権で副総統を務める頼氏が、与党、民主進歩党の新主席(党首)に選ばれた。昨年11月の統一地方選で大敗した党の立て直しが喫緊の課題である。親日家である頼氏は、一方で対中国強硬派として知られる。行政院長(首相)在任中も「台湾独立」に言及していた。

 

▼1年後に予定される総統選の与党の最有力候補でもある。中国は軍事的圧力を含めたあらゆる手段で、頼氏の勝利を阻もうとするだろう。

 

 

 

■ 「島に手を出すな」覚悟の発言

 コラムを後で読み返したい時のために、書き起こして掲載しています。

 

私が気に入った新聞コラム

「島に手を出すな」覚悟の発言 

ジャーナリスト 阿比留瑠比氏

 

 2023/1/12 01:00 阿比留 瑠比 政治政策 阿比留瑠比の極言御免安全保障政策

 

戦後、ここまで言い切った政治家はいなかったですね。

それだけでも稀有な存在だった。

評論家江藤淳氏の言葉・・「人が死ぬ如く国も亡ぶ」にならないように。

2023/01/15

 

ジャーナリスト 阿比留瑠比氏 
ジャーナリスト 阿比留瑠比氏 

 

阿比留 瑠比(あびる るい、1966年3月4日 - )は、日本の政治部記者。産経新聞社政治部編集委員。福岡県太宰府市出身。県立筑紫丘高校、早稲田大学政治経済学部を卒業後、1990年4月産経新聞社に入社。 仙台総局、文化部(生活班)、社会部を経て政治部へ異動。政治部では内閣記者会(首相官邸担当、キャップ)、外務省兼遊軍担当を務めたのちに再び首相官邸担当に異動。

 

 

「島に手を出すな」と安倍氏  阿比留瑠比

 

岩田清文元陸上幕僚長ら自衛隊最高幹部OB3人と安倍晋三内閣で国家安全保障局次長を務めた兼原信克氏が、台湾有事や自衛隊の備えの現状などについて警鐘を鳴らす新著『君たち、中国に勝てるのか』が胸に響いた。タイトルは、かつて安倍氏が発した言葉からつけられている。

 

戦闘になれば損害は

 

兼原氏によると、安倍氏は平成30年策定の「防衛計画の大綱」を作る際の準備過程の冒頭で、居並ぶ自衛隊最高幹部にただした。

 

「君たち、勝てるのか。(沖縄県石垣市の尖閣諸島を巡り)戦争になれば、自衛隊員は何人死ぬのか」

 

これを読んで筆者が河野克俊前統合幕僚長に尋ねるしと、安倍氏に別件で報告に行ったときにやはり「実際に戦闘になれば、どれぐらい損害が出るのか」と質問され、率直に答えたという。

 

兼原氏はこうしたエピソードについて、同書で次のように解説している。

 

「戦争が始まれば自衛隊の犠牲は免れません。みんな家族がいる。安倍総理は、自分がその最高責任者だという気持ちがとても強かった。そんな指導者は戦後、鼓腹撃壌となった日本にはいませんでした」

 

岩田氏も同書で「安倍総理から『日本は勝てるのか』と言われましたが、この質間をしたのは、これまで安倍総理一人だけです」と述べている。確かに歴代首相の一人、菅直人氏は、就任するまで自身が自衛隊の最高指揮官であることも、防衛相が自衛官ではなく文民であることも知らなかつた。

 

一方、安倍氏は2度の首相退陣の際には、持病が悪化していく中で自衛隊の最高指揮官として判断を誤る可能性はないかと自問自答して決断していた。  

 

また、安倍氏が中国の習近平国家主席と会談した際には、毎回、尖閣諸島に関して「日本の意思を見誤らないように」と強調していたことは知られているが、兼原氏はその前段があったことを明かしている。

 

「安倍総理は習近平主席に『私の島に手を出してはいけない』と本当に言ったのですよ。そして『私の意思を見誤らないように』と続けたのです」

 

首相が領土を守り抜くという国家意思、そして自分自身の覚悟を告げた際のすごみを感じる。耳の痛いこと、都合の悪い情報から遮断された独裁者には直接、日本の考えを伝えて印象に深く刻ませる必要がある。

 

変わらぬ親中派

 

昨年12月、岸田文雄内閣は反撃能力(敵基地攻撃能力) の保有を盛り込んだ「安保場文書」を閣議決定した。中国や北朝鮮の脅威に対抗する当たり前の防衛戦略がようやく緒に就いたわけだが、ここまでの道のりは長かつた。

 

平成27年5月、自民党総務会が、集団的自衛権行使の限定的容認などを盛り込んだ安全保障関連法案を了承した日のことである。

 

安倍氏はマスコミも野党も、さらには一部自民党内からも「この法案で歯止めは利くのか」との議論が蒸し返されることに、うんざりした様子で語った。

 

「くたびれるね。何あの『歯止め』とか。中国に言ってみればいいんだよ。歯止めなく軍事拡大している国がそこにあるのに、彼らはそれは言わない」

 

それから8年近くたつ。その間(国民の対中観や安保観は現実化したが、親中派の主張は十年一日のごとく変わらない。自民党の河野洋平元衆院議長は7日のTBS番組で語つた。

 「この政策転換は、あり得ない。安倍政治に非常に大きな問題があった」

 

だが、あり得ないのがどちらであるかは、もはや自明のことだろう。(論説委員兼政治部編集委員)

 

四季月記へ移動します 
四季月記へ移動します 
鎌倉寺社探訪-2017へ移動します 
鎌倉寺社探訪-2017へ移動します 
鎌倉寺社探訪-2016へ移動します 
鎌倉寺社探訪-2016へ移動します 
鎌倉寺社探訪-2015へ移動します 
鎌倉寺社探訪-2015へ移動します 
オートシェイプ画-2018へ移動します 
オートシェイプ画-2018へ移動します 
オートシェイプ画-2017へ移動します 
オートシェイプ画-2017へ移動します 
オートシェイプ画-2016へ移動します 
オートシェイプ画-2016へ移動します 
リンク:四季の花・夏の花へ移動します 
リンク:四季の花・夏の花へ移動します 
リンク:四季の花・写句へ移動します 
リンク:四季の花・写句へ移動します 
リンク:四季の花・短歌へ移動します 
リンク:四季の花・短歌へ移動します 
リンク:四季の花・野鳥動物 へ移動します 
リンク:四季の花・野鳥動物 へ移動します